内容説明
西は東に会い、東は西に語りかける。いきいきと宇宙言語をしるし、根源的なるものへ向かう心に耳を澄ませる大滝和子の、『銀河を産んだように』『人類のヴァイオリン』に続く豊饒の第三歌集。
目次
ゼロ
友情の西から
イデア界へ
月と電話
海の書
レオナルド
矢尻
時空漂流
東西恋愛
スナップドラゴン〔ほか〕
感想・レビュー
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mi
1
声帯をなくした犬が走りゆく いたしましょねアジュガの株分け/そら耳であろうと蘇鉄枯れようとそれを止めることできません/蛇の目は閉じることなしわが家にもっとも近き蛇はいずこぞ/日が短くなったね(なったね)自転車のライト、御先祖さまはいないね2022/05/17
toron*
0
腕時計のなかに銀河の直角がきえてはうまれうまれてはきゆ 太陽とわれの年の差おもいつつ肩甲骨を灼かれておりぬ それぞれにほぐして吾と地球儀を織りあわせいるマーラーありぬ 海を視ることのできない海のためサングラス髪のうえに立てたり めちゃめちゃ良かった。最近読んだなかで最も良かった。こういう短歌をずっとつくりたい。発見の歌もありながら、あまり「自分」が濃く出ていないところも、手本にしたい感じがあった。これが第三歌集で、前二作も図書館にはあるようなので(Amazonでは既に高額だった…)、書き写したい。2021/08/15