感想・レビュー
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まふ
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今日の「俳人」が忘れてはならない現代俳句の別格巨人的存在の阿部完市(2009年没)。彼の俳句は虚子の「季題諷詠」や「客観写生」はおろか言語表現における固定観念化された「意味」をも解体し「非意味的連想」によって「現代俳句」をも粉砕し、詩的構造を構築する。『今までの私の俳句を超えて<私の枠>の外に立つことを思っている』と自ら語った俳句は響きは美しいものの「非意味」または「不意味」の連続となる。私の好きな句は<少年来る無心に充分に刺すために><ローソクもつてみんなはなれてゆきむほん>など。まさに奇跡の俳人だ。2024/06/16