内容説明
奴隷は、家具や家畜とおなじように、だれかの持ち物としてあつかわれ、主人が売ると決めたら、本人の気持ちなど関係なく売られてしまいます。家族が売られていくのを見ても、どうすることもできないのです。ヘンリーは、そんな奴隷のひとりでした。ヘンリー・ブラウンは、秘密の組織「地下鉄道」の助けをかり、自由への脱出を試みました。ヘンリーが立てた計画は、だれも思いつかなった方法でした。2008年コールデコット賞オナー賞受賞作。
著者等紹介
レヴァイン,エレン[レヴァイン,エレン][Levine,Ellen]
アメリカ合衆国生まれ。ブランダイス大学卒業後、ニューヨーク大学法学部で博士号を取得。テレビ局での勤務や移民への英語教育などを経験した後、教育と執筆活動に力を注いでいる。『ヘンリー・ブラウンの誕生日』で、2008年コールデコット賞オナー賞受賞
ネルソン,カディール[ネルソン,カディール][Nelson,Kadir]
アメリカ合衆国生まれ。画家、イラストレーター。プラット美術大学卒業。多方面で活躍するかたわら、1999年からは、絵本の絵も手がけ数々の賞を受賞。『ヘンリー・ブラウンの誕生日』で、2008年コールデコット賞オナー賞受賞
千葉茂樹[チバシゲキ]
北海道生まれ。国際基督教大学卒業。出版社で児童書の編集に携わった後、北海道に居を移し、英米作品の翻訳家として活躍中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
gtn
29
それこそ少なくとも二千年前から、宗教者や哲学者が人間の尊厳を説いてきたのに、米国の奴隷である主人公は、妻と子を市場に売られてしまう。今でこそ、ディズニー映画の多様性の配慮等、外面的には差別撤廃の姿を見せようとするが、依然消え去らない。旧優生保護法により長年苦しめられた犠牲者に対し、先日ようやく首相が謝罪したのがその例。どうも、差別は人間の本能では。ならば、万人皆尊いという哲学を粘り強く浸透させるしかない。2024/07/22
鬼灯の金魚草
29
人間として産まれたのに、環境や人種で天国と地獄のよう。当たり前の事なので財産として与えられた後継者は普通に財産として奴隷を使うのだろう。だが、もし自分が奴隷として産まれていたら?と言うことは考えられないのだろうか?やはり大切なのは教育であると思う。みんな、読もうよ〜。2017/10/05
わむう
28
1800年中頃に起こった実話。物と同じように主人の都合でやり取りされる奴隷。主人はまだ優しい人で結婚を許してくれたがお金に困った妻の方の主人に妻と子供を売られてしまう。心から嫌になった彼は「地下鉄道」という組織の協力を得て逃亡を図ります。それは小さな箱に自分を詰め船で安全な場所に送ること。息ができる小さな穴だけを作り食べ物はビスケット3枚だけ。辛い27時間後には自由の身に。その日が彼の誕生日となったのですが家族には二度と会えなかったと推測されます。同じ人間なのに奴隷にも心や感情があると思わないのだろうか。2019/02/27
たまきら
22
読み友さんから。オカンだけで読もうと思っていたのに目ざとくオタマさんが発見。「悲しいお話だと思うんだよ」「いいから読んで」たまたまディエゴ・リベラ展で「奴隷」という絵を見て感じるところがあったみたい。しばらく考え込んでいました。お風呂で「たまちゃんは白人?」というので「アジア人は黄色と言われるみたい。白人のところには入れなかったのかもね」と説明すると「わっかんねえなあ」。うん、だよね。2017/11/28
みさどん
22
奴隷の子ども、ヘンリーブラウン。彼の幸せは主人の意向一つで決められてしまう。奴隷同士が結婚して子どもを産むことには主人たちは何も言わないんだなと思っていたら、体のいい働き手の一人になるのだ。そして売り飛ばすなら財産の一つなのだ。彼の名が残るのは、小さなボックスに入って自由の地へ郵送されることを選んだこと。奴隷制の中にあった人々の苦しみが写実な圧倒的な絵で伝えられる。2016/03/12
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