内容説明
人生の大半を施設ですごすピーティ。ひとつひとつの出逢い、目にするもの、耳にするものによろこびとおどろきを味わい、自分の人生を生ききった、胸を打つ、光あふれる物語。
著者等紹介
マイケルセン,ベン[マイケルセン,ベン][Mikaelsen,Ben]
アメリカ合衆国の児童文学作家。南米、ボリビアで生まれ育つ。米国西北部、モンタナ州ボーズマン在住。徹底した取材にもとづく作品には定評があり、8作品で30近い受賞をするなど、各方面から高い評価を得ている
千葉茂樹[チバシゲキ]
1959年、北海道生まれ。国際基督教大学卒業。出版社で児童書の編集に携わった後、北海道に居を移し、英米作品の翻訳家として活躍中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぶんこ
73
生まれつき重度の脳性麻痺で身体のあちこちが捻れ、自力では何も出来ないピーティが、精神障害者施設に移されたのは2歳。ただ生きているだけの生活。何十人もの大部屋で、ベッドの上だけでの生活。生きる目標、希望もない中で、自分の人生を、信じられないほどの感謝の思いで受け止めているピーティ。ピーティが数少ない理解者に愛されたのは、人生を楽しみ、感謝しているから。酷い仕打ちや蔑みの目、諦めから鬱になることもなく、常に前向きで明るいという事に、ただただ感動しました。2016/02/17
ころりんぱ
58
素晴らしい本に出会いました。こんなに心揺さぶられるなんて、思ってもみなかった。ピーティに出会えた事、幸せに感じます。重度脳性まひのピーティの生涯を辿りながら、たくさんのことを考えました。障がいを持って生きることや介護について、援助、QOL、共生、孤独、生きるってことそのもの。ピーティと出会った男の子トレバーと一心同体となりながら、私も必死に向き合いました。一緒に笑い一緒に泣き、濃密な時間を過ごさせてもらいました。ほんと、胸がいっぱい。たくさんの人がピーティと出会えますように。2015/01/21
Natsuki
58
【@今年を振り返る再読週間】初読の時は、脳性麻痺者のピーティー・知的障害者のカルビンという側面。そして障害者が歩んできた道のりに注目して読み、感情の波に流されるままに読み終えました。今回再読して響いてきたのは「生きること」そのもの。自分の思い(気持ちや意思)が相手に伝わったり、相手の思いを受け止めたりして、互いに気持が通じ合う喜び。誰かに必要とされる喜び。それらは全て生きる糧となっていく。普段見逃している小さな喜びを気付かせてくれました(*^^*)そして再読ももれなくウルウル(ToT)2014/12/20
はる
48
良い本でした。重度の障害を持って生まれたピーティ。手足は麻痺し、言葉もほとんど喋れない。けれど、どこまでも優しく、日々の生活の中に幸せを見出していくピーティの生き方が素晴らしい。重くなりがちな内容ですが、外国特有、ウエットになり過ぎず読みやすいです。ラストは切なくも爽やかでした。私も日々の生活を普通に送れること、自然の風や木々の素晴らしさに感謝しなければ。2016/02/05
けいこ
35
思いがけずとても素敵な作品に巡り会えた。脳性麻痺で生まれたピーティ。誤解や偏見、差別。悲しくて酷い境遇に晒されながらも、なんて優しくて、ユーモアがあって、感情豊かなんだろう。彼と真正面から向き合った人たちがどんどんと彼の魅力に気付く。そして晩年は孫のような友達との出会い、親友との再会、周囲の人たちの理解、たくさんの新しい経験ができて良かった。どんな運命でも受け入れて、「人生はなんて素晴らしいんだろう」と笑ったピーティ。本当に優しい人間は強い。フィクションだけれど、実在の人物がモデルだそう。心に沁みた1冊。2022/02/21