内容説明
10歳の女の子ナイマ、貧しくともおたがいを大切に思い合う家族、そして、自分の力で変わろうとしている人びとの夢と現実と希望の物語。
著者等紹介
パーキンス,ミタリ[パーキンス,ミタリ][Perkins,Mitali]
アメリカ合衆国の児童文学作家。インド、コルカタに生まれ、アメリカ合衆国に、両親、姉妹と共に移住。幼いころから、バングラデシュ、カメルーン、ガーナ、インド、メキシコ、タイ、イギリス、オーストリアなど世界のあちこちに住んだ経験から、異文化への架け橋となる児童書の執筆をつづけている
ホーガン,ジェイミー[ホーガン,ジェイミー][Hogan,Jamie]
アメリカ合衆国のイラストレーター。ニューハンプシャー州のホワイトマウンテンで育つ。木炭、パステル、コラージュなどを駆使した独自の画風で、新聞や雑誌にもイラストを発表し活躍中
永瀬比奈[ナガセヒナ]
上智大学外国語学部英語学科卒業。航空会社勤務の後、アメリカ合衆国テキサス州に住む。帰国後、子どものころから好きだった児童書の翻訳に精力的にとりくむ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新地学@児童書病発動中
135
これは素晴らしい児童文学で、非常にお勧めです。日本人にはあまり馴染みのないバングラディシュの人々の生活が、一人の女の子の物語を通してよく伝わってきます。経済的な貧しさゆえに苦しい生活。伝統的な枠組みの社会で生きる女性への差別。読んでいると胸の中に重苦しいものが広がってきますが、主人公のナイマには絵がありました。アルバナと呼ばれるバングラディシュの伝統的な絵で、ナイマの絵は村で一番と言われているのです。ナイマがアルバナを描くことを通して、心の痛手から立ち直って、家族を助けていく過程は感動的です。2015/11/01
ぶんこ
56
グラミン銀行のシステムについては知っていたので、リキシャの修理店の寡婦が、それを利用して店を開き、結果としてナイマを助ける事が出来たのが嬉しかったです。 ただナイマが10歳だったという事。 健気さにウルウルしました。 思い立ったら即行動しては失敗するナイマ。お父さんを助けたい一心で、自分もリキシャを運転できるのではと動かしてしまい、新車のリキシャを壊してしまう。 両親にとっては怒り心頭だと思うのに、ナイマの気持ちを思いやって怒らない両親。 素敵な家族でした。 2015/11/12
kiisuke
42
児童書。貧困の中でも家族を思いやり喜びを見出そうと生活を送る10歳の少女ナイマを通じてあまり馴染みのないバングラデシュの文化、教育や芸術に対する一般的な価値観に少し触れることができました。巻末に付録的にバングラデシュの衣装や通過、楽器や食品についてイラストを使った(衣装のみ)簡単な解説もあります。子どもにもバングラデシュの文化に親しみが持てそうですね。ナイマの家族や友人への気遣いや夢を叶えようと努力する姿は子どもはもちろん、大人でも折に触れて思い出し、勇気を貰えそうな物語でした。2015/06/21
けんとまん1007
35
異文化、世界の現状を知るという意味がある。もちろん、同じ国のことすら、知っていることは、ほんの一部。そんなことを考える1冊でもある。それはそれとして、家族というものの意味を、改めて考える。親と子のつながり、お互いを思う心。その表現のしかたは、いろいろあるだろうが、根底に流れているものが変わらない。それが、次へ、明日へつながる。2016/02/20
も
33
読友さんの感想を読んで知った本。児童書なので易しい言葉で分かりやすく書かれています。お父さんはリキシャで朝から晩まで家族のために働いています。疲れたお父さんを見て、助けたいのに女の子だから家計のために働けないと悩むナイマ。失敗してもまた別の方法で行動を起こすナイマに胸を打たれました。そしてナイマに素晴らしい出会いが。マイクロファイナンスの制度には色々な見解が出ていますが、子どもや女性が希望を持てる制度として成立していればいいなと思います。自分にできることを見つけた喜びを活かしてほしい!2015/05/17