内容説明
現代の電子回路の中心的な存在であるディジタルICは、ますます小型化、高機能化、高速化している。一方、これらの高速ディジタルICを実装するプリント基板の配線は微細化しており、新しい多層化技術も次々と生まれている。このような状況では、単にICを実装しプリント・パターンで接続しただけでは、安定に回路を動作させることはできない。配線長の長いクロック信号ラインで起きる反射、電源やグラウンド・プレーンが引き起こすノイズなど、高速化に伴う多くの問題点は、回路設計の段階で対処する必要があり、アートワーク設計の時点では手遅れだ。本書は、高周波化が遅れているプリント基板上で、高速にそして確実にディジタル回路を動作させるためのプリント・パターンの配線テクニック、高速ICの使い方などをわかりやすく解説するもの。回路設計者だけでなく、アートワーク設計者にも役に立つ一冊である。
目次
プリント基板の高速化と周波数特性―高速/高周波回路を実装するために
高速センスによる多層プリント基板活用―信号層/電源層/グラウンド層のレイアウトと配線術
クロック信号ラインの伝播遅延要因―基板上で最も高速な信号のふるまいと問題点
高速ディジタル基板の信号波形の実際―DIMMのクロック信号波形の観測と考察
伝播遅延とスキューへの対応―伝播速度の算出法と高速回路の動作マージンの検証
高速バッファICの種類と伝播特性―その実力と使い方を実験で検証
パスコンの役割とその最適容量―高速ICの安定動作に必須!その施し方と設計法
配線インダクタンスの低減方法―ICに安定な電源を供給するために
伝送線路のインピーダンス整合―信号エネルギを100%負荷に伝えるテクニック
プリント・パターンのインピーダンス設計―特性インピーダンスと伝送速度の考察
ノイズを出さない高速回路設計―ノイズ発生のしくみと高速ICの選び方
ノイズを出さないプリント基盤設計―部品レイアウトとアートワークの心得
著者等紹介
久保寺忠[クボデラタダシ]
1948年神奈川県生まれ。1970年日本大学理工学部卒業。1971年日本マランツ(株)入社、通信機器、自動演奏ピアノの設計など。1980年富士ゼロックス(株)入社、COB、MCMなどの実装技術開発、EMC対応技術開発など。現在、日本フェンオール(株)PWBA事業企画室
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