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内容説明
沈黙と記憶に蝕まれて、すべてが朽ちゆく村で、亡霊とともに日々を過ごす男。この小説を読むことで、あなたの世界は全てが変わってしまうだろう。スペインから彗星のごとく出現し、世界に“冷たい熱狂”を巻き起こしつつある、この奇蹟の小説を体験せよ。
著者等紹介
リャマサーレス,フリオ[リャマサーレス,フリオ][Llamazares,Julio]
1955年、スペイン、レオン地方の田舎町ベガミアンに生まれる。マドリッド大法学部卒業後、弁護士となるも、ほどなくジャーナリストに転身。早くから詩人として知られ、『のろい雄牛』『雪の思い出』(ホルヘ・ギリェン賞)などを発表、次第に散文作品に移行する。1985年、初の長編小説『狼たちの月』を刊行、その迫真の筆致で注目された。また、『黄色い雨』はその3年後に発表された長編第二作であり、この作品によって一躍、現代世界文学の一角を担う最重要作家と見なされるに至った
木村榮一[キムラエイイチ]
1943年生まれ。神戸市外語大学学長。フリオ・コルタサル、ガルシア=マルケスなど、ラテンアメリカ小説の精力的な翻訳・紹介で広く知られる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
(C17H26O4)
81
孤独の圧倒的な恐怖の描写に強い衝撃を受けた。降り続く雪に生き埋めにされていくように、川の濁流にのまれていくように、降りしきる葉にうずもれていくように、腐敗した黄色い液体が骨を侵していくように、死は距離を詰める。心と肉体が崩壊し、村と家とともに朽ちて滅びる姿を想像しながら死を待つ。増大する恐怖による支配。禍々しくも力強く美しく、鮮烈だった。簡素でたたみかけるような文に喘ぎながら最後まで読み続けた。目の前を埋め尽くす沈黙の悲鳴が、風と植物で押し殺された暗い悲鳴が、死が発酵するときの緑色につぶやく音が耳に残る。2019/03/16
星落秋風五丈原
36
分かり辛かった。夜が、あの男のためにとどまっている。闇に閉ざされたアイニェーリェ村で、いったい何が起こったのか? スペインから彗星のごとく出現し、世界に「冷たい」熱狂を巻き起こしつつある奇蹟の小説。 沈黙と記憶に蝕まれて、すべてが朽ちゆく村で、亡霊とともに日々を過ごす男。2006/03/06
ワッピー
32
声に出して読みたい読書会推薦本。山村の静かな崩壊を透明な筆致で削りだした作品。市民戦争を機に、住人たちが次第に村を出ていき、語り手アンドレスの長男は徴兵されて帰らず、次男も外の世界へ出ていく。最後の村人が去ってほどなく、妻のサビーナは自殺し、あとにはアンドレスと雌犬だけが残される。落ち葉のように降り積もる静かな回想、忘却の黄色い雨が世界を浸食し、村がゆっくりと朽ち果てていく過程の美しくも哀しい描写はモノクロームの映画のよう。影と光のコントラスト激しいスペイン像を勝手に予想していましたが、対極の世界でした。2020/03/14
おおた
31
「苔と孤独の重みに耐えきれずにゆっくりと」崩壊していく村、そこにただ1人残った男が語る、村の最後。都心の枯葉はすぐに集められてしまうけれども、深い山に入ると朴葉が積み重なり、鈍い人の足を滑らせる。山を一層茶色に染める光景は、本作で語られる村の景色に近いのだろう。Webが発展してSNSで無聊を慰める現代とは全く異なる、自分と犬と自然だけ。誰にも助けを求められず、「恥を忍んで」食料を分けてもらう場面は苦しさがのしかかってくる。詩的な言葉の描写力もすばらしい、生涯手放すことのできない一冊。2019/12/22
風に吹かれて
23
黄色いポプラの葉が一面に降り積もる。雪解けで湿った葉の群れが空き家を腐らせ崩していく。辺りの村々は人々が離れ人気がなく、この村も雌犬と棲む一人の老人だけになってしまった。この村を離れないのは何故だろう。人がいなくなれば、村は無かったことのようになる。人がいなくなれば、生きていた人々の面影もなくなる……。黄色い雨のように降り積もる時間は、すべてを砕き風が吹きはらってしまうのだろうか。➡2021/03/06
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