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内容説明
幼い時から実母による虐待を受け続けたのち、里子として偏見と差別のなかで成長し、やがて18歳で空軍に入隊したデイヴ。かつてはヒーローだった父親が哀しい死を遂げ、はじめて愛した女性との結婚生活もまた悲劇に終わる―。それでも、最愛の息子スティーヴンとのふれあいを通じて、癒されてゆく。そして、ついに母親との再会を果たすことを決意。憎しみと許しのはざまで苦悩しつつも、人生最大の問いかけ―「なぜ、ぼくを虐待したのか?」と尋ねるために…。壮絶な虐待の体験者が、トラウマを乗り越え、人間として生まれ変わるまでの魂の軌跡。
著者等紹介
ペルザー,デイヴ[ペルザー,デイヴ][Pelzer,Dave]
カリフォルニア州デイリーシティに生まれる。州史上最悪といわれた児童虐待を生きのび、その後、米空軍に入隊。一方で、自らの経験を活かして、カリフォルニア州各地の教護院および青年援助プログラムで活動を続ける。児童虐待にたいする一般の認識の向上およびその防止に力を注いだとして、米国内で高い評価を得ている
田栗美奈子[タグリミナコ]
翻訳家・桜美林短期大学講師
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のっち♬
118
空軍入隊、両親の死別、二度の結婚を経て人生を模索する完結編。虐待の理由は結局判然としない。夫が留守にしがちな5人育児に加え、「自分が育てられたとおりのやり方でわが子を育てる」性向は家庭の閉鎖性を鑑みれば説得性を与えそう。遺品整理ならではの赦しだが、漠とした罪悪感や対人恐怖との共存は昨今の普遍的命題であり、究明より憎しみの連鎖を断ち切ることの重視は、『決定的な変化』を悉くバネにするバイタリティや豊かな人間関係に由来する。妻を追い込む初婚が象徴する様に、正邪二元論な視座からの解放は「不屈の精神」の扱い方次第。2023/11/16
コージー
36
★★★★★実母から虐待を受けて育ったデイヴの半生を記したノンフィクション。シリーズ完結編。大人になってからのデイヴの様子が語られている。何年経っても母親から受けた心の傷は完璧に消え失せることはなかったが、彼はけっして過去に屈せず、様々な葛藤を乗り越え、自らの手で人生を必死に切り拓こうとする。特に、最愛の人との出会いを通して、心が徐々に解放され、ようやく自分を認められるようになっていく場面には、思わず、涙してしまった。自分の人生を見つめ直し、もう少し踏ん張ってみよう、そう思えてくる素晴らしい作品であった。2021/11/03
青蓮
23
続きが気になって一気読みでした。大人になってからのデイブの人生が綴られています。母への葛藤、祖母との微妙な関係、父親との別れ…泣きながら読みました。デイブの過去は変えられないけれど、それをバネにより良い人生を歩もうとする姿は感動的で敬意すら覚えます。今彼が幸せで良かった。本当に。私も母への葛藤を断ち切れるのかな。虐待という酷く悲しい事が1日でも早くなくなりますように。2013/11/22
アーチャー
15
著者デイヴの壮絶な人生を綴った記録も本作で最後ということもあって、前2作に比べると衝撃度は薄い。しかし、決して人生を諦めず、神様を信じた彼に対するご褒美が幸福であることを考えれば、単純だが決して安易に人生を放棄してはいけないと思わされた。2012/09/09
羊姪
13
結果的に負の連鎖を断ち切れたけれど。パッツィの結婚生活のくだりは、主人公の父親と全くおなじ道だなと思いました。彼女が息子に虐待しなかったからよかったものの、こんなに気性が荒くて、嘘はつくし、虐待してきた自分の母親そっくりに感じました。ハッピーエンドで本当によかった、、。2020/02/15