内容説明
景観人類学の新たな地平を拓く。グローバル化の中で自然・社会・文化が激しく変動しつつある現在、身体‐環境関係の再考から既存のパラダイムを転換しようとする景観人類学が注目されつつある。本書は、海外の研究動向を踏まえ、この分野の新たな可能性を探る試みである。
目次
第1部 移動性と一時性(移民と/移民の景観;徒歩者の景観―場所・動き・知;都市のサウンドスケープと芸能の音―香港・九龍半島における中国龍舞の習得と実践を事例として;「問題」としての景観―ソロモン諸島マライタ島のアシ(海の民)の事例から)
第2部 競合と相律(セルフィーが生み出す景観―マッカ巡礼における宗教景観論争と共有のパフォーマンス;コミュニケーションから創られる場所性―京都市の事例から;都市景観をめぐるポリティクス―中国における漢族文化の類型学と“場所”の再構築)
第3部 応用アプローチへの可能性(景観と開発のあわいに生きる―インド・タール沙漠における風力発電開発事業と人びとの世界認識;リビングヘリテージとしての景観―カンボジアにおけるアンコール期/ポスト・アンコール期遺跡の文化遺産保護をめぐって;文化財ポリティクスとしての景観価値―奄美群島における世界遺産登録推進と現地の景観認識;地図と景観の現在―気候変動とグーグルアース上における「沈む国」ツバルの視覚化)
著者等紹介
河合洋尚[カワイヒロナオ]
東京都立大学大学院社会科学研究科博士課程修了。博士(社会人類学)。現在、国立民族学博物館研究戦略センター助教。専門は社会人類学、都市人類学、漢族研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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