内容説明
20世紀初頭、ボリシェヴィキ革命の中で滅亡したロシア皇帝一家の愛と悲劇を、ドラマチックに描いた読み易い歴史物語。
目次
ロシア帝国―1894年
皇太子ニコライ
公女アリックス
結婚
戴冠式
新ツァーリ
二人の革命家
カイザーの助言
1905年
ツァーリの村〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Hotspur
2
ロシア帝国の終焉をロマノフ王家の側から描いた力作。日露戦争も、第一次世界大戦も、ラスプーチンも、ロシア革命もすべてロマノフ家の視点から捉えられる。通常は逆の視点から描かれることが多いので、極めて興味深い。特に、1917年2月の革命、ニコライ二世の退位、同年10月のボルシェヴィキの政権奪取、ニコライ他家族の殺害にまで至る過程は息を呑む迫力であり、歴史の歯車の非情な音を聞く思いがする。マッシーは、このプロセスの原因の一つに皇太子アレクセイの血友病を挙げているが、これもロマノフ王家の運命の悲劇性を高めている。2020/12/18
ohgachan
2
「坂の上の雲」を読んで”敵方”のツァーリズム自体に興味を持ったので読んでみた。日露戦争自体はごくあっさりとしか書かれていなかったが、その開戦後に生まれた皇太子アレクセイが血友病で、皇后アレクサンドラが藁をもつかむ思いで帰依した怪僧ラスプーチンが、やがて政治に介入するようになり、第一次世界大戦に出征した皇帝ニコライ二世も翻弄され、ひいてはツァーリズムそのものに対する怨嗟の声が高まり、ロシア革命とロマノフ王朝の滅亡につながっていくという悲劇がリアルに描かれていた。2011/01/01
Takaki Kondoh
1
「雪のバビロン」と呼ばれた帝都で、ニコライ2世は毎朝6時から夜8時まで農民服と素食で執務に没頭したという。彼は平時なら本当に「良き王」だった。全てを自ら決裁し、無数の病院と孤児院を支え、あらゆる請願に応えて毎年冬には一文無しになる皇帝だった。 ある深夜、ドイツ皇帝から戦争を最終決断する書簡が届けられる。しかし人が良すぎるが故にスタッフを叩き起こすことができず、暗い宮殿で頭を抱えて悩み続けた。結果、欧州大戦が勃発。そして革命。一家は共産主義者によって悲惨な最期を迎える。悲劇というしかない。2016/12/16
嘉納よし子
0
血友病で苦しむ皇太子アレクセイとその母親・アレクサンドラ皇后の苦悩の描写が痛ましい2024/09/04