内容説明
ジェンナー種痘法伝来に先がけ、牛からの方法を発見した紀州の医師・小山肆成。この知られざる偉人の業績と波乱の生涯を、日本西洋医学史の黎明期を舞台に描く歴史ノンフィクション。
目次
序章 古座浦の疱瘡騒動
第1章 惨たり疱瘡禍
第2章 肆成の京都遊学
第3章 医家として立つ日
第4章 牛痘苗の作出に成功
第5章 種痘医として生きる
第6章 紀州医界の先駆者たち
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
志村真幸
1
著者は天狗太郎のペンネームで、将棋の観戦記者として活躍した人物。関連の著作が多い。 小山肆成に関わることになったのは、同郷(和歌山の古座浦)の出身ゆえという。 小山は江戸後期に京で種痘医として活動した。蘭方医ではなく、中国医学の立場から実施したというのがめずらしい。また、単純に西洋/中国からの技術に頼り切りにならず、独自に牛を使ってワクチンを生産し、多くの人に接種した工夫に価値がある。 本書は、小山の生涯を追った内容で、これまでほとんど知られていなかった人物に光を当てた点が重要だ。2024/02/13
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- 和書
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