内容説明
「延命優先か生命の質か」の論議の中、末期患者が心安らかに死を受容し、生命の最期の瞬間まで自分らしく人間らしく生きられるように。エイズやガンを病む患者や家族を支え活動する欧米・アジアのホスピスチームの感動のルポなど―現代ホスピス運動の理念と実践。
目次
1 手厚くもてなす主人―「ホスピス」とは?
2 私たちとは違って―古代ギリシャ・ローマの医療
3 他所の人が道に迷わないように―中世のホスピタリティ
4 曲がり角―カリフォルニアのホスピス・チーム
5 夜間飛行―宗教改革以後の流れのなかで
6 見事な結合―シシリー・ソンダーズ博士と聖クリストファー・ホスピス
7 あるがままの姿で―ホスピス病棟の人びと
8 この情熱的な関心―N教授との対話
9 ニューヘイブン―アメリカでの最初のホスピス
10 アップル・アイランド―アメリカの医療の伝統と将来
11 最高の宴―巡礼の旅
12 アンを忘れないで―最後の輝き
13 サークルを作って―世界のホスピス最前線
14 エイズ―見知らぬ客が教えるもの
15 地球村―1990年アジア
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
regacian
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ホスピス黎明期の1978年に執筆された12章までと、ホスピスが各地で広まりを見せた1991年に執筆された13章以降からなる本。 古い本ではあるものの、患者の身体的な苦痛のみならず精神的な苦痛をケアするという理念は色あせない。患者の家族や友人がケアにおいて積極的な役割を担うというのも重要な点に思う。 聖クリストファーホスピスなどの各地のホスピスにおける取材だけでなく、ホスピスの理念の原型でもある中世の初期ホスピスにおけるhospitalityと、それが宗教改革以後失われた背景などが述べられる点も面白かった。2021/01/05