内容説明
大不況下の1920年代に記者となり、UP通信から『ニューヨーク・タイムズ』の花形記者として、禁酒法時代のシカゴ、第2次大戦時のヨーロッパ、東西冷戦時代のソ連・東欧諸国や北ベトナム、中国報道など、世界の断層ともいうべき地域を経めぐって、現場を目撃し、観察し、大物政治家たちに会い、幾多のスクープを放ってきた記者活動半世紀にわたる著者の、時代の証言。アメリカ再発見。「真実」をめぐる報道の在り方、メディアと権力、国家と民衆とジャーナリズムの関係を問い直す。
目次
夜行便
ミスター・ハガティーの机
ごみ・ニューヨーク・シティー
ヨンカーズってなに?
夜更けのレッドフック街で
法律なんぞ糞くらえ
恐怖と憎悪
一族を襲った死
鉄のカーテンの向こうへ
「周辺地帯の二流記事」
変革の時
シッキムの悪夢
戦争のすぐ隣りで
ボー・グエン・ザップ通りを歩いて
ノエル
最初に犠牲になるものは
嘘
「凡庸な男」
不可思議な足跡
「一番ぱっとしない女王」
三九三号室で目隠しされながら
中国を失ったのは誰か
ロシアと中国の戦争
長征
優雅この上なき騎士
偉大な貴婦人
忘れられていた小男
帰って来たローゼンタール
僕の残りはどこへ行ったい
署名入り寄稿欄の世界
高潔なる行為のための死はそを甘美なるものとす
翼をもった目
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
がんぞ
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著者は中華人民共和国に招待されて行った最初のアメリカ人記者である。「何を見たいか」聞かれたときに“長征のあとを辿りたい”と希望し、叶えられた。それまでに北ベトナム取材とかヨーロッパの第二次大戦の戦跡などを取材した経験から共産党のルーツを知りたかったという。そして十年後ニクソン訪中の直前、その助言者となった。さらに毛沢東に会い「中国はやがてマルクス主義を脱する」との遺言のごとき見通しを聞いた(もちろん文革等を反省したのではない)。それにしても国営企業も倒産とて踏み倒し労働者は失業するシステムの人民共和国2012/08/26