感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まふ
107
ジバゴはパルチザンに強制召集されて軍医としてロシア各地を巡る。その後脱走してラーラと巡り会い同棲し平和な時を持つ。が、ソヴィエト政府軍の追及の手を恐れて一緒に逃げようとするが果たせず、ジバゴはラーラと別れてしまい、生きる意味を失って無気力な生活を送る…。よく頑張って書いてはいたが、トータルとして何を訴えたかったのか、のメリハリがあればさらによかったと思う。思うに詩やら哲学や何やらを詰めすぎたのではなかろうか。とは言え、インパクトはそれなりにあった。G1000。2024/02/12
ころこ
41
訳者の力量は折り紙付きなので、なぜ平板な訳になったのかが気になっていましたが、『訳者あとがき』を読み納得しました。57年11月に出版されて、1年経たずに翌年10月にノーベル文学賞の受賞が発表されています。現在も途上国における独立の意味が大きい文学賞ですが、ソ連が受賞に反発したことからも明らかな様に、この賞が当時はより政治的に使われていたことが分かります。ロシア文学の系譜からすると後退とみなされるこの小説を擁護するのは、ショーロホフ、ソルジェニーツィンと冷戦期に受賞した系譜を辿ってからでも遅くはありません。2022/05/26
かもめ通信
18
上巻の群像劇から一転,ジバコとラーラの二人に焦点が絞られてからの展開は早いというか,読みやすいというか…。とはいえ(再読で結末を知っているからということもあるのだろうが)なんだかなあ~。あまりにの偶然が重なりすぎて,これって神の采配なのか?……と,ジバコ詩篇を読んだ後もいろいろ釈然としない。作者が一番に描きたかったのはラブロマンスではなかったのだろうけれど…。登場人物達に今ひとつ,ふたつ魅力が無いんだよなあ。女性の描き方もひどいしなあ。やっぱりパステルナーク,ちょっと苦手だ。2020/04/27
あっきー
14
⭐3 この本を読んだのはまだ見ていないが先日映画を録画できたこともある、パステルナークはノーベル文学賞辞退でデイヴィッド・リーン監督が映画化したことで有名だ、下巻は上巻よりも話が進展して赤軍、白軍、農民軍(パルチザン)の三つ巴の内戦の悲惨さが伝わってきたし、ジバゴの二人(三人?)の女性への内心の葛藤と暮らしの危機が迫ってきて小説としては盛り上がった、YoutubeのDoctor Zhivago / ドクトル・ジバゴ - ララのテーマ 1965も見て良かった2025/05/10
algon
11
長編名作をやっと読了。読み終えて感じたのは何度も観た映画との比較だった。長編の枝葉の筋やイデオロギーやそれと相反するジバゴの主張を抜き、バラライカという効果的な小道具を加え、ジバゴとラーラの純粋な大河ロマンに仕上げた巧妙な映画製作陣に敬服した。原作で著わされるロシア民衆の数々の悲劇は極力縮小されロシア風土を舞台にしたロマンは世界に受け入れられ易かったのだろう。しかし読んでいても映像のジバゴとラーラが動く(笑)。詩人の描く壮大な物語は少々の瑕疵はあれ、主要人物の真摯な愛の物語だった。非常に面白く読めました。2021/05/17