内容説明
1976年、合衆国政府は、豚インフルエンザと呼ばれる新型インフルエンザの世界的大流行(パンデミック)の脅威から国民を守るために、全国民を対象とする前代末聞の大規模ワクチン接種事業に着手した。接種を受けた者、10週間で4,000万人超。その点では、まずは成功だった。だが半面、論議の沸騰、計画からの遅れ、行政上のトラブル、法的紛糾、予想外の副反応の出現といった出来事が相次いだこともあり、これには、公衆衛生当局に対する国民の信頼を急速に失墜させてしまったとの評価もある。そして何より予想していた脅威は、やって来なかった。本書は、当代きっての2人のハーバードの学者によって著された、公的政策の意思決定における、明瞭で具体的な教訓に満ちた、行政や政治にかかわる人たちやこれからその道に進もうとする人たちにとって絶好の事例研究の書である。
目次
第1部 オリジナル・レポート(インフルエンザ新種出現;センサーの決意;クーパーの支持;フォード大統領の決断;組織立ち上げ;野外試験;法的責任問題;立法措置;開始、そして中止;カリファノ登場;遺産;教訓を踏まえて;専門的あとがき)
第2部 豚インフルエンザの後に、そして将来に向けて(その後の展開;教訓の使いみち―授業の題材として;長官からの請負としての論評)
著者等紹介
ニュースタット,リチャード・E.[ニュースタット,リチャードE.][Neustadt,Richard E.]
ハーバード大学J.F.ケネディ行政大学院の行政学のLucius N.Littauer Professorであり、また、あのAlliance PoliticsやPresidential Powerの著者としても有名である。彼は、トルーマン大統領時代、大統領補佐官の1人として働き、さらにはケネディ大統領およびジョンソン大統領時代にも大統領顧問として政策決定にかかわっている
ファインバーグ,ハーヴェイ・V.[ファインバーグ,ハーヴェイV.][Fineberg,Harvey V.]
ハーバード大学医学部でMDの学位を取得し、さらに同大学ケネディ行政大学院でニュースタット教授に学び、公共政策学で修士の学位も取得している。彼は、長年ハーバード大学公衆衛生学部で教鞭をとっており、保健関連政策・行政学の大学院課程の主任教授の地位にあり、さらには米国科学アカデミー医学研究所のメンバーでもある。彼は、現在でも定期的に臨床医学の現場に立ち、マサチューセッツ州公衆衛生委員会のメンバーでもある
西村秀一[ニシムラヒデカズ]
1955年山形県生まれ。1984年山形大学医学部医学科卒業、医学博士。山形大学医学部細菌学教室(現感染症学教室)助手を経て、1994年4月から米国National Research Councilのフェローとして米国ジョージア州アトランタにあるCenters for Disease Control and Prevention(CDC)のインフルエンザ部門に留学、その後同部門の客員研究員。1996年12月に帰国。国立予防衛生研究所(現国立感染症研究所)ウイルス一部主任研究官を経て2000年4月より国立仙台病院(現国立病院機構仙台医療センター)臨床研究部病因研究室長、ウイルスセンター長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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メルセ・ひすい
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