出版社内容情報
待望の復刊!
介護の現場にいよいよロボットが登場しつつあります。人手不足と腰痛などの職業病を回避する決め手としてニュースでも取り上げられるようになりましたが、ロボットの腕がおばあさんの口元にスプーンで食事を運ぶ姿に、どこか痛々しさを感じないでしょうか? ペットロボットに話しかけるおじいさんは、孤独ではないのでしょうか? 人助けのためにこの世に生まれながら、本当に人の代わりにはなれないロボット。日常生活の中に繰り出し始めたロボットと人はどうコミュニケーションできるのかをめぐって、ロボット開発者の常識破りの発想と心理学者のするどい観察のコラボレーションから生まれた本です。
【目次】
ロボットの悲しみ 目次
プロローグ
1章 「ともに」あるロボットを求めて 岡田美智男
1 ロボットの多面性─モノから「もう一人の他者」へ
(1)素朴な道具から高度なキカイへ
(2)ロボットと人との関わりのなかで
(3)ロボットで代替えできるの?
2 人とロボットとの関わりにおける生態学的転回
(1)周囲を味方につけながら
(2)その街が私たちを歩かせている
(3)他者となるとは?
3 「弱いロボット」の目指すもの
(1)弱いロボット「む~」の誕生
(2)表情やことばの「弱さ」から生まれるもの
(3)ちょっと手のかかる「ゴミ箱ロボット」
4 関係論的なロボットとその展開
(1)相手の目線を気にしながら言い淀む「トーキング・アリー」
(2)離合集散を繰り返すパネル型ロボット「INAMO」
(3)フラフラと動きまわるだけの「ペラット」
(4)一緒に手をつないで歩く「マコのて」
(5)シンボルの意味の獲得・共有にむけて
5 おわりに
2章 ロボットの居場所探し 松本光太郎・塚田彌生
1 高齢者の暮らしとロボット
2 研究概要の紹介
(1)ロボットの紹介
(2)研究実施の紹介
(3)研究協力者の紹介
3 二人の共通点
(1)ことばの音が声に聞こえる
(2)時間の経験を得る
(3)模造品に気持ちが揺さぶられる
4 二人の相違点
(1)既知のものとして自分に引き寄せたYさん
(2)未知のものとして身を委ねたKさん
5 ロボットの位置づけ
3章 生き物との交流とロボットの未来 麻生 武
1 コンパニオン型ロボットと私たちの未来
(1)ロボットとの交流、生き物との交流
(2)ある恐るべき未来社会
2 「生き物」という存在への共感
(1)ゴキブリへの憎しみと愛の可能性
(2)アリやカタツムリへの共感
3 「生き物」との交流様式
(1)家の中で飼われている犬や猫とのファーストコンタクト
(2)家族の一員としての犬や猫
(
内容説明
ロボットは、本当に人の代わりにはなれないのだろうか。日常生活の中に繰り出し始めたロボットと人は、いかにコミュニケーションしあえるのか?ロボット開発者の常識破りの発想と心理学者の鋭い観察から、ロボットと人の関係性を探る意欲的な一冊。
目次
1章 「ともに」あるロボットを求めて(ロボットの多面性―モノから「もう一人の他者」へ;人とロボットとの関わりにおける生態学的転回;「弱いロボット」の目指すもの;関係論的なロボットとその展開;おわりに)
2章 ロボットの居場所探し(高齢者の暮らしとロボット;研究概要の紹介;二人の共通点;二人の相違点;ロボットの位置づけ)
3章 生き物との交流とロボットの未来(コンパニオン型ロボットと私たちの未来;「生き物」という存在への共感;「生き物」との交流様式;「心とことば」をもつこと;おわりに)
4章 ロボットとのやりとりに意味が生まれるとき(「らしさ」のつくり込み;「あいだ」や「まわり」に立ち現れる意味;意味の「かたさ」「しなやかさ」;自他の重ね合わせと自閉症;ロボットを使った自閉症療育支援;ロボットとのやりとりに意味が生まれるとき;ロボットのもつ限界と可能性)
5章 ロボットは人間「のようなもの」を超えられるか(人類はおしゃべりである;人がロボットと出会うということ―相手のなかに「主体のようなもの」を見る;出会うのは偶然、出会ってしまえば必然―人どうしの対称性と時間の非対称性;最後に、過去の語りを共有するということ)
座談 「ロボットをめぐる問い」をあらためて問う
著者等紹介
岡田美智男[オカダミチオ]
1960年、福島県生まれ。東北大学大学院工学研究科博士後期課程修了。NTT基礎研究所、国際電気通信基礎技術研究所(ATR)などを経て、豊橋技術科学大学名誉教授、筑紫女学園大学副学長。コミュニケーションの認知科学、社会的ロボティクス、ヒューマン=ロボットインタラクションを研究
松本光太郎[マツモトコウタロウ]
1972年、福岡県生まれ。九州大学大学院人間環境学府博士後期課程修了。現在、茨城大学人文社会科学部教授。自然場面における人の心の成り立ちについて発達心理学・環境心理学を軸にして研究
麻生武[アサオタケシ]
1949年兵庫県生まれ。大阪市立大学大学院文学研究科後期博士課程修了。京都国際社会福祉センター研究員、相愛女子短期大学教員、奈良女子大学研究院人文科学系教授を経て、奈良女子大学名誉教授。乳児が人になっていく発生的プロセスを縦断的な子どもの日誌観察データを基に解き明かすことライフワークにしている
小嶋秀樹[コジマヒデキ]
1966年、東京都生まれ。電気通信大学大学院電気通信学研究科博士課程修了。郵政省通信総合研究所(現在、情報通信研究機構)、宮城大学事業構想学部教授などを経て、東北大学大学院教育学研究科教授。ロボティクス、認知科学、発達心理学、自閉症療育などの研究に従事
浜田寿美男[ハマダスミオ]
1947年、香川県生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程修了。花園大学、奈良女子大学を経て、奈良女子大学名誉教授・立命館大学特別招聘教授。「私」の成り立ちをはじめとする発達心理学とともに、刑事裁判における供述分析を業としている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。



