出版社内容情報
大国インドの成長を牽引する南インド社会。その基盤には、伝統的な親族構造と婚姻制度のもとで暮らす女性たちの姿があった。ある商業カーストを事例に、親族集団に富と人脈をもたらす女性たちの生き様をヴィヴィッドに描き出す。
*通俗的な理解とは異なる「カースト」の実際の姿を、フィールドワークや文献調査をもとに提示する。
内容説明
親族集団に富と人脈をもたらす吉兆のシンボルとしての女性。近年、目覚ましい発展を遂げる大国インド。その成長を牽引する南インド社会には、伝統的なカースト制度が息づいていた。ある商業カーストを事例に、その親族ネットワークと婚姻システムのもとで生きる女性たちの姿を活写する。親族集団に経済的資源や人脈をもたらす女性たちの生き様からは、21世紀においてもなお、カーストが必要とされ続けている理由が見えてくるだろう。
目次
序章 「カースト」に内在する平等性
第一章 「高望みしない」若者たち
第二章 親族名称とカースト内婚の倫理
第三章 「婚資」としてのハナヨメ持参材
第四章 婚姻儀礼のシンボリズムと同位性の表現
第五章 還暦の祝いにみる「スマンガリ」の役割
第六章 葬送と寡婦たち
エピローグ 寡婦たちの今、そして未来
著者等紹介
西村祐子[ニシムラユウコ]
駒澤大学総合教育研究部教授。東京大学大学院人文科学研究科に在学中に南インドのタミルナードゥ州にて村の祭礼に関するフィールドワークを行う。ロンドン大学大学院(LSE)における博士論文でナガラッタール・コミュニティをとりあげ、同論文にもとづいたGender,Kinship and Property Rightsをオックスフォード大学出版局より出版。国際交流基金による安倍フェローとして渡米、シアトル市のアジア系コミュニティにおけるコミュニティ開発を研究、『草の根NPOのまちづくり』(勁草書房)を出版。以降、JICA講演による南インドおよびフィリピンにおける開発プロジェクトを手掛ける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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