出版社内容情報
敗戦の象徴である戦艦大和は、なぜ戦後日本の「民族の誇り」たりえたのか。戦艦が日本人のアイデンティティに結びつく理路と、戦後平和主義の下でさえ戦艦を称揚した人々の意識を解明する。戦艦と日本をめぐるテクノ・ナショナリズムの歴史社会学。
*民生技術をおもな対象としてきた日本のテクノ・ナショナリズム研究において、軍事技術という角度から、戦後日本のもう一つの姿を描く。
*人々が軍事技術開発を肯定するようになる論理を分析した本書は、今後の安全保障・軍備の問題を議論するうえで重要な知見を提供する。
内容説明
戦艦という軍事技術の産物に日本人が投影したものとは―自国の伝統や神話に根差さない科学技術が、ナショナル・アイデンティティの構築に寄与するのはなぜか。敗戦の象徴である戦艦大和が、戦後日本の礎として言祝がれたのはなぜか。戦艦がいかにして日本のナショナルな象徴として受容されたのかを問う、テクノ・ナショナリズムの歴史社会学。
目次
序章 旧軍の記憶と科学技術立国ニッポンの自画像
第1章 「ナショナルなもの」として戦艦
第2章 戦争のコメモレーションとしての戦艦―戦艦三笠保存運動のメディア史
第3章 敗戦国日本はいかに戦艦大和を発見したか
第4章 旧軍技術から平和技術へ―高度経済成長期における「大和=科学技術立国の礎」論の展開
第5章 「大和=科学技術立国の礎」論の退潮―高度経済成長の終焉と軍事技術への眼差しの変化
第6章 「第二の敗戦」と戦艦大和―低成長期における「大和=科学技術立国の礎」論
第7章 地方における「大和=科学技術立国の礎」論の展開―テクノ・ナショナリズム構築におけるローカル/ナショナルの力学
終章 平和日本の礎としての軍事技術―継承と断絶の二重の論理
著者等紹介
塚原真梨佳[ツカハラマリカ]
1992年沖縄県生まれ。立命館大学大学院社会学研究科応用社会学専攻博士課程修了。博士(社会学)。現在、立命館大学アジア・日本研究所専門研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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