出版社内容情報
日本文学の近代化に奮闘した鴎外。『舞姫』などの創作、晩年の史伝で知られるが、翻訳はやめることはなかった。彼にとって翻訳とは文化の翻訳であり、生きることそのものだった。鴎外文学において「翻訳」の果たした役割を具体的・多面的にさぐる。
・鴎外没後百年に、単行本に未収録で入手困難なものを中心に論考。
・なかでも鴎外訳『即興詩人』の分析は、学会の権威をものともしない大迫力。
内容説明
〓外は『即興詩人』から他界直前の『ペリカン』まで翻訳をつづけ、翻訳は全作品の半分以上を占めるほどであった。さらには『舞姫』『雁』などの創作、『渋江抽斎』などの史伝も「文化の翻訳」と見ることができる。〓外にとって「翻訳」とは何だったのか。「翻訳」という視点から文豪の生き方の知られざる側面に迫る。
目次
異文化理解と翻訳と
異文化、日本化、超越化―〓外における西洋文学の変容とアイデンティティー
〓外「日本回帰」の軌跡―「(西洋)小説」の日本化とその超越
〓外訳『即興詩人』とアンデルセンの原作
〓外訳『即興詩人』の系譜学
『即興詩人』とイタリア―森〓外とアンデルセン
「文化の翻訳」の諸相とバイカルチュラルの翻訳者・森〓外
森〓外『椋鳥通信』と文化の翻訳
「文化の翻訳」と先駆者森〓外考
百年前の森〓外
翻訳の人・〓外
翻訳者・〓外の世界
〓外の「ヨーロッパ離れ」
第一次大戦と〓外の「ヨーロッパ離れ」
森〓外の「翻訳」人生
著者等紹介
長島要一[ナガシマヨウイチ]
1946年東京に生まれる。コペンハーゲン大学よりPh.D.ならびにDr.Phil.取得。コペンハーゲン大学DNP特任名誉教授。ダンネブロ騎士勲章受賞(2018年)。森〓外記念会名誉会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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