出版社内容情報
賢治の童話は、岩手の野山が古くから伝えている声にひたすら耳を澄ませ、本好きの賢治が海外の文学から響く声との共鳴に心うごかされて生まれた。民俗的なもの、科学的なもの、宗教的なものなどの混交する魔術的宇宙の謎に世界文学の視点から迫る。
内容説明
土俗の世界から世界文学へ昇華した賢治童話。岩手の土俗的世界から(「イーハトーブ」といった)普遍的で魔術的な世界を創造した賢治童話の謎に、比較文学の手法で迫る。
目次
第1章 賢治童話の魔術的地図―土俗と想像力
第2章 「ガドルフの百合」、あるいは「曖昧な犬」
第3章 「水仙月の四日」―天地照応のファンタジー
第4章 嗜食の寓話―「ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記」「蜘蛛となめくじと狸」から「フランドン農学校の豚」まで
第5章 「ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記」、あるいは賢治の「影」
第6章 自然との交感と乖離―「かしはばやしの夜」と「鹿踊りのはじまり」
第7章 「風の又三郎」とガラスの靴幻想
第8章 「銀河鉄道の夜」―賢治の異界神話の集大成
第9章 本と宇宙―賢治とボルヘス、ネルヴァル
著者等紹介
私市保彦[キサイチヤスヒコ]
武蔵大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。