出版社内容情報
小説の中で囁かれる声、あるいは「研究」のために収集されなくてはならなかった声。その多くは「非主流者」達の「個」としての複数の抵抗の声であり、歴史のうねりの大きさを象徴する。「声」が力強い言葉へと文脈化される道程を追う画期的な書。戦時性暴力、ジェノサイド、ミソジニー。あらゆる暴力下に生きた人々の「声」を我々の現在の「生」へと結びつける。
内容説明
ヒミツはいつ、誰の前で言葉にされるのか。水俣病、戦時性暴力、レイシズム、ジェノサイド―理不尽な暴力にさらされた周縁的な存在たちひとりひとりからこぼれでる抵抗の声は、いかにして社会へと開かれ、それを聴き取る者、それもまたひとりひとりであるわれわれを「社会的な力」へと変容させる「文学」たり得るのか。
目次
1 「海洋文学」から「海の文学」へ(我が耳はみ墨の坩;その死が犬死ではなく ほか)
2 日本のヒミツにふれる(飛んでゆこうかい、舟で;ふつうの家庭の夫婦の間にだっていくらもある ほか)
3 文学とオーラル・ヒストリー(軍艦島をアウシュヴィッツのように;はたらけば自由に ほか)
4 ジェノサイド縦横(三分の一を追放、三分の一を抹殺、三分の一を強制改宗;殺される前にあらかじめ害虫のレッテルを ほか)
5 戦時性暴力とミソジニー(僕は今一つの肉を要求する;女性たちが売られていく状況をただ見ているしかなかった ほか)
著者等紹介
西成彦[ニシマサヒコ]
1955年岡山県生まれ。兵庫県出身。東京大学大学院人文科学研究科比較文学比較文化博士課程中退。熊本大学助教授、立命館大学文学部教授を経て、同大学院先端総合学術研究科特任教授。日本比較文学会会長(2019年まで)。専攻はポーランド文学、比較文学。著書に『ラフカディオ・ハーンの耳』(熊日文学賞、岩波書店、1993/岩波同時代ライブラリー、1998)、『森のゲリラ 宮澤賢治』(日本比較文学会賞、岩波書店、1997/平凡社ライブラリー、2004)、『耳の悦楽―ラフカディオ・ハーンと女たち』(芸術選奨新人賞、紀伊國屋書店、2004)、『外地巡礼―「越境的」日本語文学論』(読売文学賞、みすず書房、2018)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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