内容説明
1968年に出版されて以来、世界中で読み継がれ、アイデンティティの概念は私たちの人間理解に深く、大きな影響を与えてきた。だが今日、エリクソンはあまりに単純化して理解されていないだろうか。原典を読むと、今日も私たちにとって切実であり続けている問題に誠実に向き合った、人間探求の古典の一冊であることがよくわかる。初めてエリクソンを読む人にも、改めて読み直したい人にもお勧めしたい、エリクソンの思想の神髄に触れる一冊。
目次
第1章 プロローグ
第2章 観察の基礎
第3章 ライフサイクル―アイデンティティのエピジェネシス
第4章 個人史と症例史に見られるアイデンティティ混乱
第5章 理論的間奏
第6章 現代の問題に向けて―青年期
第7章 女性と内的空間
第8章 民族、そしてより広いアイデンティティ
著者等紹介
中島由恵[ナカジマヨシエ]
千葉県生まれ。早稲田大学第一文学部英文学専修卒業。東京大学大学院教育学研究科博士課程中退(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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roughfractus02
10
ユダヤ共同体の共通の精神構造という意味でフロイトが用いたアイデンティティ概念を、著者は危機において問われる指標として用いる。この指標から、人生において内なる葛藤と新たな集団への帰属する諸段階を示すことができる。その混乱は共同体からの排除を示し、その確立はある期間の安定を示す。第二次大戦後の退役軍人の混乱から1950年代以降のカウンターカルチャーの若者たちの安定へと向かう時期に書かれた本書(1968刊)は、ライフサイクルの諸段階に「世代サイクル」を見出す一方、危機が差異の均一化によって安定する点も暗示する。2021/11/19
エジー@中小企業診断士
2
訳者あとがきにあるように文意が理解しにくいことこの上ないがそれがエリクソンの文体であるとされては責めることはできないのだろう。アイデンティティという用語は個人の独自性についての意識されうる感覚、経験に連続性を持たせるための無意識の努力、集団の理想への連帯感など様々な異なる文脈で使用されている。青年期の自我の最も重要な達成。個人の成長と社会構造の相互作用の中から生まれてくる資質、独自の活力に満ちた強さを徳(virtue)と呼び幼児期は希望、老年期は知恵、そして青年期は「忠誠(fidelity)」である。2023/03/23
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