出版社内容情報
◆看護とはどういう経験なのか?
看護師たちは、勤務交代をしながら、患者の状態を確認し、同僚や医師と意見を交わし、ナースコールが響くや、足早に病室に向かいます。看護師の関心は、つねに患者の状態にあるので、自分たちがどのように実践しているのかについて言葉にする機会があまりありません。「言葉にならない技術」と言われる所以です。しかし看護師たちの語り合いの場には、実践の知恵を知る手がかりがたくさんあります。本書は、看護師にグループインタビューして率直な会話を 作り出すことによって、看護実践についての見方や枠組みを再発見し、捉え直していった創造的な試みの記録です。看護師や医療関係者にとってだけでなく、病者として看護に関わる私たちにとっても、看護とはどういう営みなのか、その実践が何に支えられているのかを深く考え、知る機会となる本です。
看護実践の語り 目次
はじめに
序 章 語りを始める
1 事例に垣間見える苦しみへの応答
2 ただ一緒に立っている
3 いつもと変わらないケア
4 その一言、その動作ひとつ
5 インタビュー導入部で何が語られたのか?
第1部 駒に追いつくように動く
第1章 〈見えてくる〉という実践
1 大丈夫を感じる
2 雰囲気を察する
3 行為の中で浮かび上がってくる
4 映像に追いつくように動く
5 患者のところに行ったほうが早い
6 普通の感覚
第2章 「うまくできない」実践の語りが示すもの
1 うまくできない経験
2 その病棟の固有の見方
3 志向性を引き継ぎ全体を見る
4 昔のように統合して見えるようになる
5 判断の流れに組み込まれる
第3章 「困った」けど困ってない
1 「困った」に触発されて
2 困ったと思うけど何とかなる
3 新卒の反省的実践─こういうときはこう
4 見通しが実践を決める
第2部 行為を踏みとどまらせるもの
第4章 応答としての苦しみ─「引っかかり」はいかに問われるか
1 苦しみに応じること
2 「引っかかり」の捉え直し
3 自分の実践のもとから
第5章 自分の実践のもと
1 患者さんらしさへ(Dさんの経験)
2 苦痛に向かう志向/取り残された家族(BさんとFさんの経験)
3 ようやく看護になる(Eさんの経験)
4 ポツンと残る一件(Aさんの経験)
第6章 引っかかりから多様性へ
1 現在の実践においても気になる(BさんとFさんの経験)
2 引っかかりのもとを紐解いていく
終 章 語りが生み出す普遍
1 看護師のまなざし─〈見えてくる〉が生まれる
2 協働を支える素地が生まれる
3 引っかかりに教えられる
4 語り継ぎが生み出すもの
5 語りに内包される開かれた普遍性
あとがき
初出一覧
索 引
装幀=新曜社デザイン室
内容説明
看護実践とはどのような営みなのか?患者の変化や訴えに応え、援助するなかで、看護師自身はどのように感じ、考え、実践しているのだろうか。日々のエピソード、「しこり」「引っかかり」となって今も生き続ける経験を語りあう共同作業から紡ぎ出される、看護実践の言葉。
目次
語りを始める
第1部 駒に追いつくように動く(“見えてくる”という実践;「うまくできない」実践の語りが示すもの;「困った」けど困ってない)
第2部 行為を踏みとどまらせるもの(応答としての苦しみ―「引っかかり」はいかに問われるか;自分の実践のもと;引っかかりから多様性へ)
語りが生み出す普遍
著者等紹介
西村ユミ[ニシムラユミ]
首都大学東京健康福祉学部/大学院人間健康科学研究科教授。2000年日本赤十字看護大学大学院看護学研究科博士後期課程修了。博士(看護学)。同大学講師、静岡県立大学看護学部助教授、大阪大学コミュニケーションデザイン・センター准教授を経て、2012年より現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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