内容説明
ジェンダーの理解は実践のなかにある。実践に内在する合理性を描きだす…“自由意志”対“決定論”の躓きを超えて意味秩序をとらえる社会学的記述の全て。
目次
1部 社会秩序の記述(性現象の「社会」性;行為とコンテクストの相互構成的関係あるいは間接的言語行為について;社会システムの経験的記述;社会秩序の記述と批判)
2部 法的実践の中のジェンダー(法的推論と常識的知識;強姦罪における性的自由;被害者の意思を認定する;ポルノグラフィと「女性の被害」の経験)
著者等紹介
小宮友根[コミヤトモネ]
1977年生まれ。東京都立大学大学院社会科学研究科社会学専攻博士課程修了。博士(社会学)。現在、日本学術振興会特別研究員(PD)。専攻:エスノメソドロジー/会話分析、ジェンダー論、理論社会学。現在は、法的実践を作りあげている「人びとの方法論」により近づいたところで研究をおこなうため、模擬裁判を対象にした相互行為分析などに着手している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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okazukineko
1
東大生と京大生の読書会に混ぜてもらって読みました。現代思想と社会学って、つくづく僕に極めてなじみのない分野なのですね。実践的な要請に対して、弱いのはまあ自覚していたのだけど。ジェンダーを描写的に、可変的なものとして捉えると言う試みは本当に必要なのだと思うのだけど、それをどう個人の中にある普遍的なもの(と想定されるもの)と関連させるかというのは、社会学の範疇ではなく、こちら側の問題になるのだろうな。いやはや、勉強になりました。2012/06/01
you
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社会学的記述を行うことの認識利得(行為を理解可能にしている概念的前提に適切な記述を与えること)が説得的に語られていて非常に面白かった。Ⅰ部は再読しよう。2015/10/19
村上直樹
0
名目上、わかりいい「反知性主義者」をやり玉に上げたりして誠実な知性主義の立ち位置を確保しながら、遂行的には指定された敵よりも自身の方が反知性主義的、という人はよくいる。そういう本もよくある。本書はそういうものの一つである。著者は早稲田の人だからこういうのは「いつものこと」である。國分功一郎もそうだし、東大だが同じ新曜社の小熊英二もそうだ。2012/05/07
madofrapunzel
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★★★★☆ ルーマン研究出身ということもあって叙述内容ともに非常にアカデミック。デリダ、バトラーのコンスタティウ゛/パフォーマティウ゛の概念を展開し、性とは言説(実践)の中で生産される現象だと説く。納得。2012/10/30