内容説明
男女の性愛でも、血のつながりでもない。家族とは、ケアの絆を結びあうことだ。力強く生きる基盤を共に築くために。人と人の多様なつながりの実践から、新しい社会構想に向かう社会学。
目次
家族のオルタナティブと新たな生の基盤を求めて―本書のねらい
1 「家族」を超える論理と倫理(家族の臨界―ケアの分配公正をめぐって;家族からの出発―新しい社会の構想に向けて;ジェンダー家族のポリティクス―家族と性愛の「男女平等」主義を疑う)
2 「家族」を超える多様な実践生きる基盤の新たなかたち(若者の自立/自律と共同性の創造―シェアハウジング;性愛の多様性と家族の多様性―レズビアン家族・ゲイ家族;家族下位文化と家族変動―ステップファミリーと社会制度)
著者等紹介
牟田和恵[ムタカズエ]
京都大学大学院文学研究科社会学専攻後期博士課程退学。大阪大学大学院人間科学研究科教授。専攻は社会学、ジェンダー論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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HolySen
2
1~3章では「ケアの分配」という家族と社会における大きな問題を巡り、骨太な論理が三人の学者から述べられていて、それぞれ勉強になる。4~6章でも家族のオルタナティブとしての3つの実践が述べられている。それぞれのコラムも充実して面白い。全体として読む価値のある本だと思った2016/08/25
まつゆう
2
シェアハウスの概念を再考するために読んでみたがどうもうまくいかず。もうちょっと踏み込んで分析してほしい。2016/05/24
May
1
シェアハウスとレズビアン家族・ゲイ家族のところを読んだ。コラムもあって、基礎文献としてとても読みやすい。2012/12/01
あかり
0
公私二元論や異性愛、モノガミーが「自然」であるとする、政治的に作られてきたジェンダー家族観を、「家族」をケアの結びつきと理解することで批判的に検討する。そしてそれを乗り越える具体例として、コレクティブハウジング、ゲイ・レズビアン家族、ステップファミリーなどが紹介される。同性婚のような、ともすると従来の家族システムを維持・拡張させかねない制度が、ジェンダー家族の解体に道具的に役立つか、という点を考えてみたいと思った。2022/11/22