出版社内容情報
身体観の変容と呼応した現代的アイデンティティの表現として「美容整形」をとらえた、画期的な社会学研究。
内容説明
自然な身体から加工対象としての身体へ―変容する身体観から浮かび上がる感覚や行為に宿る現代のアイデンティティ。
目次
1部(美容整形はいかに論じられてきたのか;美容整形の現在―アンケートから;美容整形の現在―インタビューから)
2部(化粧品広告における身体表象の要素;身体表象の要素の変化)
付論 国際比較―韓国・台湾・ドイツの整形調査と比較して
著者等紹介
谷本奈穂[タニモトナホ]
大阪大学大学院人間科学研究科修了、博士(人間科学)。現在、関西大学総合情報学部准教授。専門は現代文化論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
○
7
女子大の社会学の授業で取り上げそうな本。整形を行う女性が"自己満足"で、他者からの視線は関係ないと答えていたが、もし世界に自分一人しかいなくても「顔を変えたい」と思うのだろうか。もし自分が学生だったらこのテーマでインタビュー調査を行いたいと思った。2015/08/31
msykst
2
驚くべき量の資料。広告の分類に関して恣意性を感じなかったのは,多分資料の量がもたらす説得力のせい。インタビューに関しては「想像上の他者・自己」ってのは,何か胃がキリキリするような感じ。言い得て妙ではあるけど。あと,動機の語彙に関しては少し消化不良。「自己満足」って「言わなきゃいけないような空気」とかもあるんじゃね?,とか,「周りから容姿を褒められる人」の「キャラ類型」とかもあるんじゃね?とかとか素朴に思った。故に調査設計に関するエクスキューズには何回か疑問を持ったのも正直な所。まぁ,エスノとして面白ければ2009/01/09
阿呆った(旧・ことうら)
1
なかなか考察が深いです。2016/03/14
MasakiZACKY
1
自分らしさ・自然とは何か。美容整形と化粧という観点。興味深い。2015/02/20
前田まさき|採用プロデューサー
0
整形の動機について考察された本。安易な「精神分析」はなされていない。インタビュー・アンケート・広告の内容分析を用いた、丁寧な考察がなされている。一般に、整形の動機としては、「劣等感」「コンプレックス」「異性にもてたい」が語られがちである。しかし本書では、整形実践者へのインタビューなどを通じ、「自己満足」こそが、主たる動機になっていることが明らかにされる。この他にも、整形を促す要因として挙げられる、「モノに支えられる想像力(pp.80-90)」「技術が侵入する身体(pp.90-99)」の記述が興味深かった。2016/01/31