出版社内容情報
季節とは何でしょうか。特に日本人にとって、春夏秋冬の「四季」と表現されるように、明確なかたちをもち、あたりまえに存在するもののように思われています。しかし、この四季も六季に分けることもできるし、四季のない国、雨季と乾季しかない国のことなどを考えると、日本人の確固とした季節感も疑わしくなります。本書は、季節が人間にとってもっている意味を、俳句や詩・エッセイなどの文学作品から思想家の文章、イラスト、絵画などを手がかりにさぐります。考えないときにはある(ことが感じられる)のに、いざ考えるとあやふやになる季節、それは身体や衣服に似ているかもしれません。深い洞察に満ちた「人間学的季節=身体=衣服論」といえましょう。
日本の美意識の核心は季節に対する感覚であった。わが国の古典となる芸術作品のほとんどすべてに、時に中心的テーマとして、時にそれを支える背景として、季節感が存在していることはとりたてて論証するまでもない事実である。そして単に芸術作品のみならず、日本人のごくありふれた日常生活にも季節感が偏在し、それを美しく彩っていることも、たとえば歳時記を見れば明らかである。この感覚は近現代の作品に至ってもなお存続している。(「第一章 季節の意味」より)
【目 次】
第Ⅰ部 季節論
第一章 季節の意味--井上靖を中心に
第二章 季節の諸相--わたせせいぞう、俳句の季節感を中心に
第三章 季節の複層--二つの季節観の対比
第四章 季節の成立--平安朝の歌絵意匠を中心に
第五章 季節の認識--俳句における取り合わせを中心に
第六章 雲の現象学
第七章 雪の現象学
第Ⅱ部 衣服論
第八章 衣服と身体
第九章 衣服と名称
あとがき
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【関連書籍】
『 伝統 その創出と転生 』 辻成史編著 (定価2940円 2003)
『 河北秀也のデザイン原論 』 河北秀也著 (定価5040円 1989)
『 現代美術 ワードマップ 』 海野弘、小倉正史著 (定価1575円 1988)
内容説明
考えないときにはあるのに、いざ考えようとするとあやふやになる「季節」。それは、身体や衣服に似ているかもしれない。俳句や詩、エッセイなどの文学作品から、イラスト、絵画などを題材に展開される、深い洞察に満ちた「人間学的季節=身体=衣服論」の試み。
目次
第1部 季節論(季節の意味―井上靖を中心に;季節の諸相―わたせせいぞう、俳句の季節感を中心に;季節の複層―二つの季節観の対比;季節の成立―平安朝の歌絵意匠を中心に;季節の認識―俳句における取り合わせを中心に;雲の現象学;雪の現象学)
第2部 衣服論(衣服と身体;衣服と名称)
著者等紹介
塚本瑞代[ツカモトミズヨ]
1945年愛知県に生まれる。1968年お茶の水女子大学家政学部被服学科卒業。1970年お茶の水女子大学大学院家政学研究科修士課程修了(服飾美学専攻)。愛知教育大学助教授を経て、群馬県立女子大学文学部美学美術史学科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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