出版社内容情報
「会議で決めたこと」ときけば、議論を尽くして公正に判断された結果だと思います。しかし、実は、賛成多数で評決をとる会議の仕組みには、重大なトリックが隠されていて、場合によっては、自由に結論を操作することができるのです。そして、企業トップを巻き込む不祥事を引き起こした組織・企業では、そのような不正な会議が慣行となっていることがめずらしくありません。その会議のトリックとは? どうすれば、不正な会議を防げるのか? 大規模調査と精緻な研究によって、日本の会議の問題点を洗い出し、対策を伝授する会議入門です。
組織的違反のほとんどは、集団意志決定によって決定されている。人間は、ひとりで組織的違反を決定して実行できるほど強くはないからである。会議で決めることができない場合でも、相談や根回しという懇談による了承が行われていることがほとんどである。また、実際に調べてみると、会議で正式に決まっていることが驚くほど多いのが実情だ。会議が誤った結論を出すことが、組織的違反の最大の直接因でなのである。それは、会議のしくみが間違っているからである。その間違いを理論と実証によって指摘し、正しい会議もあり方の筋道を示すのが本書の目的である。(「序にかえて」より)
---------------------------------------------------------------------
【関連書籍】
『 交通事故はなぜなくならないか 』 ジェラルド・J・S・ワイルド著 (定価3675円 2007)
『 安全・安心の心理学 』 海保博之・宮本聡介著 (定価1995円 2007)
『 リスク・マネジメントの心理学 』 岡本浩一ほか著 (定価3990円 2004)
内容説明
組織の不祥事は、会議から生まれる!?会議の危うさはどこにあるのか。どう対処するか。
目次
第1部 会議という落とし穴―決定のプロセス・マネジメント(「会議」に現れる問題;会議をサポートする―さまざまな会議支援システム;会議における決定のプロセス)
第2部 決定手続きの科学―慣習に流されないために(操作される結論;会議スタイルのシミュレーション)
第3部 決定手続きと組織(決定手続きの効用;健全な意志決定を支える組織;意志決定監査と意志決定健全性格づけの必要性)
著者等紹介
岡本浩一[オカモトコウイチ]
東洋英和女学院大学人間科学部教授。内閣府原子力委員会専門委員兼務。1980年、東京大学文学部卒業。1985年、東京大学大学院社会学研究科第一種博士課程単位取得満期退学。2000年、社会学博士(東京大学)。1993‐94年、フルブライト助教授としてオレゴン大学のポール・スロヴィック教授のもとよりリスク心理学の手法をわが国にもたらす。JCO臨界事故、東電シュラウド傷不報告事例など多くの事故・不祥事で政府の調査委員をつとめる。2001‐2006年、日本原子力研究所社会技術研究システム(後に、科学技術振興機構・社会技術研究開発センターに移管・改組)社会心理学研究グループ・リーダー兼務。また、学校法人裏千家学園茶道専門学校理事を兼務
足立にれか[アダチニレカ]
1993年、奈良女子大学文学部卒業。2001年、お茶の水女子大学大学院人間文化研究科博士課程満期退学。2001‐2006年、日本原子力研究所社会技術研究システム(後に、科学技術振興機構・社会技術研究開発センターに移管・改組)社会心理学研究グループ研究員
石川正純[イシカワマサヨリ]
北海道大学病院分子追跡放射線医療寄附研究部門・特任助教授。1996年、京都大学工学部卒業。1999年、京都大学大学院エネルギー科学研究科博士後期課程退学。2002年、博士(エネルギー科学)。2006年より現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。