出版社内容情報
ハンガリー語、英語、ドイツ語などの語学力と、精神分析、民族学、民話学などの博識を駆使して、世界中の神話・民話を蒐集し、その起源・影響関係などについて大胆な仮説を出したローハイムの昔話研究の古典的名著。この分野で定評のあるベッテルハイムの『昔話の魔力』は、ローハイムの名前を出さずにその成果を借用しているそうです。また、いま話題の宮崎駿の映画『ハウルの動く城』の原作のもとになった民話も扱われています。これらの論文が、ダンデスのていねいな解説・編集によって、現代的な意味を与えられて甦ります。
ゲザ・ローハイムは一八九一年九月十二日、ハンガリーのブタペストに生まれた。彼は、人類学と民俗学への精神分析的アプローチの発展に貢献した、フロイト以後最大の功労者である。一九五三年六月七日、ニューヨーク市で死去するまでに、十指にあまる著作と一五〇編以上の論文を世に送り出したが、その大半はオーソドックスなフロイト理論をきわめて広範な題材やテーマに適用したものである。・・・・・・私はゲザ・ローハイムこそ、真の意味で最初の精神分析学的民俗学者だったと言いたい。・・・・・・彼は民間伝承に関する論文を著すことで、その実り多い研究人生の第一歩を踏み出し、民間伝承における無意識の意味を発見しようと一心不乱に努めつづけ、その一生を終えたのである。(「はじめに」より)
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【関連書籍】
『 おとぎ話の社会史 』 J・ザイプス著 (定価3360円 2001)
『 愛と性のメルヒェン 』 J・マグラザリー著 (定価3045円 1998)
『 グリム童話 』 M・タタール著 (定価2940円 1990)
【新 刊】
『 老愚者考 』 A・G=クレイグ著/山中康裕監訳 (定価2205円 2007.6月)
内容説明
驚くべき博識と広範な調査にもとづく大胆な仮説で人類学・民俗学と精神分析学を隔てる壁を突き破ろうとしたローハイムの業績が、ダンデスの解説・編集で現代に甦る。
目次
精神分析と民話
またぐことの意味
魔法と窃盗
神話と民話
聖アガタと火曜日の女
消えた光の話
命の糸
呪われた水車小屋の熊
北米神話における文化英雄とトリックスター
トム・ティット・トット
龍の中の燃える火
アーネムランドの神話
おとぎ話と夢
狼と七匹の子やぎ
ヘンゼルとグレーテル
鳥のことば
ホレおばさん―夢と民話