出版社内容情報
近代初期における「書類国家」(paper states)とでも呼びうるものの興隆は、ヨーロッパの一般的な現象であった。ルイ十四世は、回想録のなかで、「すべてについて知らされていた」と自慢した。彼もまた長い時間を、デスクに向かって、あるいは審議会や委員会などの会議に出席して、過ごした。啓蒙主義の指導的な支配者も同様であって、とりわけプロイセンの大フルードリヒ、ロシアの大エカテリーナ、オーストリアのマリア・テレジアとヨーゼフ二世などである。委員会や役員会(多数決によって議決する小集団で、スウェーデンやロシアではカレッジとして知られていた)の増加は、この時代の行政上の主要な革新の一つである。ライプニッツがピョートル一世に書き送ったように、「役員会なしには、よい行政はありえない。役員会の機構は、歯車が互いに動かしつづけているような、時計の機構に似ている。」(「第六章 知識を管理する」より)
・「とくに第六章以降、知識を管理する国家と教会、知識を売る市場と出版(知的財産、産業スパイ、証券取引などもからんでくる)、そして読者の役割を演じた後半が抜群に面白い」富山太佳夫氏評(日本経済新聞 04.09.19)
・「現代人がイメージした「知」は、どのような道をたどって来たか。そのことを知る上で、本書はわかりやすい入門案内となる。」張競氏評(毎日新聞 04.09.19)
内容説明
知はいかにして社会的制度となり、資本主義世界に取り入れられたか。旅行案内、地図、職業広告、株式からスパイ、印刷術、喫茶店、図書館などまでを題材に、知の歴史をパノラマ的に展望する。
目次
第1章 知識の社会学と歴史―序
第2章 知識を生業とする―ヨーロッパの“知識人”
第3章 知識を確立する―古い機関と新しい機関
第4章 知識を位置づける―中心と周縁
第5章 知識を分類する―カリキュラム・図書館・百科事典
第6章 知識を管理する―教会と国家
第7章 知識を売る―市場と出版
第8章 知識を獲得する―読者の役割
第9章 知識を信ずることと疑うこと―終章
著者等紹介
バーク,ピーター[バーク,ピーター][Burke,Peter]
1937年、ロンドン生まれ。現在、ケンブリッジ大学エマヌエル・カレッジ教授。専門は文化史研究。著書多数
井山弘幸[イヤマヒロユキ]
1955年、静岡県生まれ。1978年、東京大学理学部卒業。1983年、同理学系大学院博士課程科学史科学基礎論専攻、単位取得退学。現在、新潟大学人文学部教授
城戸淳[キドアツシ]
1972年大阪府生まれ。東北大学文学研究科博士課程退学。現在、新潟大学人文学部助教授。専門は哲学
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感想・レビュー
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