出版社内容情報
冷戦構造崩壊以後、イデオロギーの終焉、歴史の終焉、国民国家の終焉が説かれるなか、政治にどんな未来があるのか? 政治の終焉というペシミズムを超えて、グローバルな民主主義という新たな理念をどのように構築するかを考察する。
内容説明
世界に幽霊が出る。終焉論という幽霊が…。理性と進歩という“大きな物語”の崩壊。グローバル化とメディアの奔流。政治も漂流し、その終焉が語られる。運命の“鉄の檻”に身を委ねるか?ペシミズムを超える思想はどこにあるか。
目次
1 運命
2 歴史の終焉
3 国民国家の終焉
4 権威の終焉
5 公共圏の終焉
6 政治
著者等紹介
ギャンブル,アンドリュー[ギャンブル,アンドリュー][Gamble,Andrew]
1947年ロンドン生れ。ケンブリッジ大学で学士(経済学、1968年)、ダーラム大学で修士(1969年)、ケンブリッジ大学で博士(1975年)を受ける。1972年、アイザック・ドイッチャー賞、1977年にはミッチェル賞を受賞。現在はシェフィールド大学政治学担当教授、兼同大学政治経済研究センター所長。たびたび来日し、神戸大学、一橋大学、中央大学で教鞭をとった
内山秀夫[ウチヤマヒデオ]
1930年東京に生まれる。1953年慶応義塾大学経済学部卒業、1958年同法学部政治学科卒業。1959~60年米国連邦議会研究員。1961年慶応義塾大学法学部副手。1973年同教授。1994~98年新潟国際情報大学学長。1995年慶応義塾大学名誉教授、法学博士
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mittsko
2
グローバルな政治史(政治のグローバル・ヒストリー)の素描に、まずはつよく勇気づけられた さて…本書の主題は、その過程の内側から生じる「運命論」に対する政治の自律的/中心的な役割の確認である それはすなわち、歴史を理想へと漸進させる人間の能力/可能性を再掲揚すること 具体的には、「超国家的な公共圏」「グローバル・デモクラシー」を実現可能な理想/目標として提示することである この点に関するペシミズムをたおやかに戒める、しなやかな知性に導かれた善導の書 文章・論旨が明快なので、現代政治学の入門書としてもおすすめ2011/04/04
URYY
0
私は、〈ポストモダン〉の理論を信じている。デリダもフーコーもドゥールーズも政治を手放さなかったという一点だけで、ぎりぎり信じている。でも、それが相対主義や文化多元主義に堕しないぎりぎりというのはどこなのか、いつも迷う。相対主義も文化多元主義も、専門エリートが身動きとらないための詭弁なんだけど、そこに潜むニヒリズム発端の〈宿命論〉の愚劣さからいかに飛躍するか、考えさせられた。2012/03/31