出版社内容情報
文化とは経済が生み出すものである、というのが近代を駆動してきた最強の思想です。この思想は経済=企業経営の効率性・生産性をとことん追求して産業社会の重層的なシステムを構築してきましたが、今このシステムは世界秩序から国家、企業、教育、医療にいたるあらゆる面で破綻をきたしています。破綻の原因は近代思想そのものに宿っている。経済とはほんらい文化の力の表現であって、その逆ではない、というのが「文化資本論」の根本的な主張で、この視点から超企業・超制度革命というラディカルな考え方を経済、文化、環境の全面に展開し、新しい社会のアイディアと設計図を具体的に提示します。
ブルデューの「文化資本」概念は静態的で、①文化財、②制度化されたもの(学歴のような例)、③身体化された資本、というようにすでにつくられているものととらえられているにとどまる。それに対して、これからは文化資本の概念を「構造化する構造」として、「つくりだしていく力」においてとらえ活用していくことだ。企業が文化資本を使って、経済生産を高めていくあり方を明確にし、実行していくことで社会関係を変容するうえで役立てるのである。(「第1章 《文化資本》経済の場」より)
・「出版ニュース」99.12月中旬
・「週刊読書人」2000.2.25 木畑壽信氏評
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【関連書籍】
『 資本主義黒書 』 R・クルツ著 (上巻6930円 下巻4620円 2007.5-7月)
『 正当化の理論 』 ボルタンスキー、テヴノー著 (定価6510円 2007)
『 ホスピタリティ原論 』 山本哲士著 (定価5000円 2006)
内容説明
文化なくして経済社会に明日はない!「資本としての文化」というラディカルな視座転換を通して、企業、諸制度、社会そのものの転換をめざす新・資本論。
目次
序章 超制度の条件
第1章 「文化資本」経済の場(経済生産と文化生産;文化資本と資本構成;文化資本の領域経済)
第2章 文化資本と想像的生産―分配システムの変容(経済言説の超克;想像的生産と社会ビジョン;場所の想像的生産)
第3章 文化資本と仕事アクション―自己技術と自由としての仕事(個的なアクションと文化的資本;コミュニケーションと文化資本;自己技術と文化資本)
第4章 文化資本と文化技術―科学技術中心をこえる(近代科学技術をこえる文化技術;述語的な文化技術の構成;場所の文化資本経済と文化技術)
第5章 文化資本の哲学文法