出版社内容情報
若くして北米に渡り、アメリカとカナダの大学で多くの日本文学研究者を育てつつ、比較文学の国際的オルガナイザーとしても内外の文学者に広く親しまれてきたキンヤ・ツルタ。彼は「越境者」の眼で日本文学、日本文化、そして日本・日本人を見つめてきました。本書は、その間に著者が読んだ日本文学、特に芥川、川端、谷崎、井伏のテキストを、日本的感性・閉鎖性から自由になって味わい、熟考した成果です。そこには外と内の両方の眼でしか捉えられない、日本の文化と文学の特質があざやかに浮かび上がってきます。21世紀に日本文学が生き残っていくための多くの示唆も含まれています。
・1999年7月4日付読売新聞、広岡守穂氏評
・信濃毎日新聞 99.6.20 佐伯順子氏評
・「波」99.7月 佐伯彰一氏評
・毎日新聞 99.7.4 張 競氏評
・日本経済新聞 99.7.11 書評氏評
・「国文学」99.8 大嶋 仁氏評
・公明新聞 99.7.26 利沢行夫氏評
・朝日新聞夕刊 99.11.16 平川祐弘氏評
・「著者独自の視点が感じられる」(東京新聞 99.10.17)
・「国文学 解釈と鑑賞」2000.2月号 高和政氏評
-----------------------------------------------------------
【関連書籍】
『 書物の日米関係 リテラシー史に向けて 』 和田敦彦著 (定価4935円 2007)
『 帝国と暗殺 』 内藤千珠子著 (定価3990円 2005)
『 死産される日本語・日本人 』 酒井直樹著 (定価2940円 1996)
内容説明
アメリカ、カナダの諸大学で多くの日本文学研究者を育てあげ、比較文学研究の国際的オルガナイザーとしても活躍している著者の面目躍如たる近代作家論。日本的なるものと西欧的なるものの境界を超えた著者独自の視点が漱石、芥川、谷崎、川端、井伏らの読解に新たな地平を拓く。
目次
第1部 越境してくる西洋人(近代日本文学のなかの西洋人;谷崎潤一郎―西洋巡礼と日本回帰)
第2部 「甘え」と越境(「甘え」と文化衝撃;『暗夜行路』における「甘え」と「ゆるし」 ほか)
第3部 向こう側と母なるもの(川端康成の向こう側空間;川端康成のアニミズム ほか)
第4部 越境者の読んだテキスト(テキストの裂け目『こゝろ』;ウサギの目で見た鳥 ほか)
第5部 帰ってきた越境者(浦島の体温差;越境者が日本の大学で教えると―発信カードと対話 ほか)