出版社内容情報
アマテラス神話と天皇儀礼の新鮮な読みと解釈を通して世の初めに隠された暴力的風景を抉り出す。タタリという〈外部〉とのコミュニケーションに注目することによって神のリアルな姿をとらえ,国家と宗教をめぐる現代人の関心にも豊かな示唆を与える。
地上の統治者=天皇の宮殿に置かれたアマテラスの御魂の鏡は、十一代目の天皇のときに、その霊力を畏れられ、伊勢の地の神域に移され、斎宮と呼ばれる巫女が斎き祭ることになる。伊勢神宮の創立である。またその分霊とされる鏡も、宮中に奉安したという。そして代々の天皇は、天皇となる即位の祭儀に際して、始祖のアマテラスを召還し、聖化した食物を始祖神と共食するという秘儀を繰り返してきた…。このような神話の中で語られるアマテラスは、紛れもなく王権の始祖神であり、国家守護の最高神である。天上の光り輝く太陽のメタファーは、唯一絶対の、清浄きわまりない至高神を意味していた。アマテラスは光を受けて輝く鏡を、自らの御神体としたのである。(「プロローグ」より)
・東京新聞 97.3.23 松枝 到氏評 同記事、中日新聞
・「図書新聞」 97.1.18 岡部隆志氏評
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【関連書籍】
『 万葉集の発明 』 品田悦一著 (定価3360円 2001)
『 創造された古典 』 ハルオ・シラネ、鈴木登美編 (定価4200円 1999)
『 神 道 』 井上順孝編 (定価2310円 1998)
内容説明
古代神話のテクストと天皇儀礼の果敢な解読をとおして、荒々しいパワーをもつアマテラスという、全く意想外の神の相貌をリアルに開示する、気鋭の力作。
目次
1 大嘗祭―もう一つの「秘儀」
2 崇りと託宣―崇神天皇の祭祀伝承をめぐって
3 伊勢神宮のトポロジー
4 「御体御卜」という謎
5 平安内裏のアマテラス―内侍所神鏡をめぐる伝承と言説