出版社内容情報
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【改訂版のお知らせ】
『 フィールドワーク 増訂版 』 佐藤郁哉著 (定価2310円 2006)
増訂版を2006年に刊行いたしましたので、そちらをお求め下さい。
内容説明
ざわめく街の死角へ、異文化の深みへと潜入し、文化という複雑な現象を、その生成の場から解きほぐす、“技”としてのフィールドワーク。その背景にある考え方から、方法・技法・情報整理のツールまで、魅惑的なキーワードで生き生きと説く。
目次
はじめに フィールドワークに向く人、向かない人
1 フィールドワークとは何か?
2 フィールドワークの論理
3 フィールドワークの実際
4 ハードウェアとソフトウェア
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
袖崎いたる
7
なにぶん時の流れがあるからして、古さを免れていないところが多い。とはいえその全てが拾えるところのないものというのでもない。たとえば方法論と技法論との区別は面白い。前者は説明や実証などに関わる基礎的な問題への関わりであり、後者は基礎というより応用の場面でのテクニックに中るとのこと。こういった言語的(と同時に社会構成的)な拘りはある種の言語感覚の書き換えを促してくれるし。フィールドワーカーについては「文化の翻訳者」という言葉が充てられているが、質的な方寄りの点からやはり「意訳家」の謂いが不可能ではない。2017/08/06
★★★★★
7
社会学の側から見たフィールドワーク入門。しかしながら、出版から20年近くを経た今では(もしかして当時から?)読む価値のない本と言って良いでしょう。定量的調査の正当性を前提としたうえで定性的調査のレーゾンデートルを主張しているように見える点は、少なくとも人類学からは違和感を感じるし、何よりも他者を表象することについての問題意識が低すぎる。フーコーやマーカスも引用されてるのになんでこの程度?ってのが現代の人類学徒から見た正直な感想。2010/02/08
き
3
フィールドワークの入門書。フィールドワークとは何か、他の調査方法との違い、記録や分析の方法、使う機器までざっと解説されている。 仮説実証型の定量的調査に対して懐疑的なのはエスノグラファーとして当然だが、研究方法によらず、研究者の暗黙の前提や見えるもの、見ようとするものに対してどこまで批判的になれるか、それを分かった上で研究しているのかという問いが投げかけられている。すでに語り尽くされている事だか、プロでもそれは難しいのだ。 2018/02/23
バーニング
1
そもそもなぜフィールドワークという方法が必要とされてきたのかを歴史的経緯をふまえて説明しつつ、フィールドワークの方法や心得を概説する一冊。最後の方にはさまざまな古のガジェット(パソコンソフトやワーロプロセッサ!とか)が紹介されていたのが個人的にツボだった。その時代に比べると道具的な面ではいまは恵まれとりますね。2023/04/25
シュミットさん
0
この本は、単なるフィールドワークの手法の教科書的紹介にとどまるのではない。私たちが何らかの「社会調査」を行うときの前提として持つべき「心構え」を説く。「理論」とはなにか、学問における「客観性」とはなにか。著者自身が一流のフィールドワーカーとしていかに試行錯誤を重ねてきたのかがよくわかる。増補版が出ているのでそちらを読むのがいいのだろう。2009/04/23