目次
第1章 全体に挑め!(「序曲」の時代;ヨーロッパ近代小説の原型と展開;昭和三十七年の全体小説論)
第2章 野間宏『青年の環』を読む(どう読まれてきたか;何が問題なのか;どう読むべきか)
第3章 三島由紀夫『豊饒の海』を読む(どう読まれてきたか;何が問題なのか;どう読むべきか)
第4章 戦後文学と全体小説(全体小説とは何か;日本語小説は亡びるのか)
著者等紹介
井上隆史[イノウエタカシ]
昭和38年横浜市に生まれる。平成1年東京大学文学部卒業。平成5年同大学院博士課程中退。現職、白百合女子大学教授。山中湖文学の森三島由紀夫文学館研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
読書実践家
6
全体小説という言葉を知った。小説家はやはり構想力が必要だと感じた。2016/01/12
イタロー
2
読むほどに豊饒な文学の環が広がっていって、ワクワクする本。全体として肯定的で、読みたい本が増えていくタイプの本。いいですね~2022/12/20
田中峰和
1
戦後文学を代表する作家三島由紀夫はあまりに有名だが、10歳年長の野間宏の知名度はそれほどでもない。戦後文学の正統と評され全体小説の作家野間に対し、異端の三島。マルクス主義を信奉する野間と天皇を中心とする日本の歴史、文化、伝統を守ろうとした三島。政治的・思想的にも対局にある二人の長編小説を比較することがこの本のテーマだ。野間の「青年の環」と三島の「豊饒の海」を取り上げ、サルトルやバルザックと比較し、全体小説としての評価を下す評論家たちの意見を紹介する。生と世界の全体をとらえ表現するのが全体小説の神髄らしい。2016/02/01