目次
第1章 本書の前提と方法
第2章 Kはなぜ自殺に追い込まれたのか―自殺未遂の真相
第3章 Kはなぜ自分の恋を告白したのか
第4章 Kはなぜ自殺したのか
第5章 静はなぜ男たちを翻弄したのか
第6章 先生はなぜ殉死したのか
第7章 『こころ』のテーマと動機
著者等紹介
柳澤浩哉[ヤナギサワヒロヤ]
広島大学大学院教育学研究科准教授。1960年4月群馬県前橋市に生まれる。筑波大学第一学群人文学類卒業、同大学院博士課程教育学研究科単位所得退学。広島大学総合科学部講師・助教授などを経て2009年より現職。専攻は日本語表現論、修辞学的分析(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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スイ
12
これはまたなかなかの突っ走りっぷり…! 面白くはあったけれど、心底納得は難しい。 「こころ」についてより、「三四郎」の美禰子は三四郎に惹かれていない、三四郎や坊っちゃんは起きた物事の主筋からすれば脇役なのだという部分は前から思っていたことだったので、書かれていて嬉しかった。2016/12/08
マカロニ マカロン
6
個人の感想です:B+。ビブリオバトルで『こころ』と『荒くれ』(徳田秋声)を紹介する為の参考書。著者も冒頭で書いている通り、『こころ』は新潮文庫売上第1位、全高校の教科書で取り上げられているなど、さらに1000冊を超える研究書や論文が書かれ、「日本人にとって特別な小説」と言えよう。著者は『こころ』における不合理は難解だが、ほとんどが解決可能として、客観性の高い解答を提示することを目標にしたと「はじめに」に書いている。1960年生まれという「日本語表現論」が専攻の著者による新解釈がとても興味深い一冊だった。2018/12/15
ぬー
3
夏目漱石はそこまで考えて書いてるのか?こじつけでは?と思いつつも、「Kはなぜ自分の恋を告白したのか」「Kはなぜ自殺したのか」の部分では著者の主張にはまってしまった。最後の乃木大将との関連も、漱石がそこまで考えていたのなら、そして本当に命懸けの批判を秘めているのなら、「こころ」は本当にすばらしい作品だと感じた。「こころ」をもう一度読みたくなった。2017/10/11
シロクマぽよんぽ
2
本書が扱う小説は『こころ』である。当然だが、他人の「こころ」は読めない。だから、K・先生・静は散々すれ違いを起こしている。Kの恋心が発生した時期も、Kが図書館の場面で助言を求めた場面の心理も、「下」の語り手が先生で、Kのモノローグがないので、“わからない”、としか言えない。その点、本書は“わからない”部分に対して、無理で恣意的な解釈が多すぎる。水川隆夫『夏目漱石「こゝろ」を読みなおす』や、石原千秋編集『夏目漱石『こころ』をどう読むか』の方が、解釈の参考になるのは間違いない。以下、コメントに詳細を記す。2024/01/01
レイトン
2
何度読み返してもKの気持ちは先生のフィルターを通してしか推測できない。少なくとも、自殺を決意したKが最後に顔を見ようと思うほどの2人の繋がり。その相手と、こころ通じ合わないのは、失恋よりずっと答えるのでは?寂しくって仕方ないという先生の言葉が重い。 2022/10/12
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