内容説明
向田邦子の短編集『思い出トランプ』の探究第四弾。比喩、思い込み、末尾文に続いて、本著では会話文に着目する。類まれなシナリオ作家である向田の会話文をドラマのシナリオやエッセイとともに分析。ごく自然にみえる会話文を紐解いてみると、『思い出トランプ』の登場人物のありようが鮮明に浮かび上がってくる。遺憾なく発揮される向田のセリフ回しを堪能できる一冊。
目次
シナリオ「あ・うん」のセリフ(「あ・うん」というドラマ;セリフとト書き;セリフの少なさ ほか)
エッセイ『父の詫び状』の会話文(シナリオとエッセイ・小説;エッセイと小説;エッセイと小説の会話文 ほか)
小説『思い出トランプ』の会話文(『思い出トランプ』という作品;会話文の分量比率;発話の分量 ほか)
著者等紹介
半沢幹一[ハンザワカンイチ]
1954年2月9日岩手県生まれ。2019年3月同上博士課程後期修了。学位、博士(文学)。現職、共立女子大学文芸学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tamami
50
向田邦子という名前に惹かれて手に取る。著者は文学が専門の女子大学の教授。著書の欄には、『向田邦子の末尾文トランプ』等、向田文学についての「研究」本が並んでいる。本書では特に小説『思い出トランプ』を中心に、彼女の作品に現れた会話文を取り上げ、その意味や作者の意図を精緻に分析している。うーん、読んでいても向田文学の面白さは余り伝わってこない。一般読者としては、時代や作者の家庭を含めて、背景の中に読んでいくことが必要なのではと思う。現代の大学生に向田文学の面白さが解らないという記述があり、時代は変わったと思う。2023/11/01