内容説明
あの夏目漱石が「全然悪るいです」と用いていた!(悪くない、とすべき?)岡本綺堂らに「役不足」の用例をたどり(力不足?)、その他、田山花袋の「女に別れる」(女と?)、芥川龍之介の「仕度をしれい」(しろ?)など。名作の中から、現代日本語の基準で見れば「?」と思われるような言葉を拾い上げ、その表現や背景から日本語と日本文学の穣かな世界へといざなう。
目次
全然
役不足
女に別れる
しれい
左近を打たせた
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちゃも
17
良き。ほぇ~なるほどなるほど。初めて知ることが多くて、ふむふむと読んでました。「全然」の用法については驚いた。でも『間違った用法』が広まっている中で堂々と『辞書で引けば正しいと分かる、一見間違っている用法』を用いるのは難しいのだろうなとも思ったり。2018/10/05
ゆき
6
一般人が下手にしったかで「全然悪いです」とか使うなって。使うな危険。(笑)2015/12/01
timeturner
3
その本を読んだときには「誤植だろう」とか「文豪でも筆がすべることもあるんだな」くらいにしか思わなかったのに、こんなふうにスポットライトをあてられ、詳しく解説されると実に興味深い。改めて日本語について考えさせられた。2014/04/26
ゆう
2
全然、役不足、格助詞「に」、しれい、使役助動詞の受身用法などについて。特に、武士が積極性を表すため受身の意味の文章を使役で書いた(軍記物)のにはなるほどと思った。逆に主観を排除するために、例えば三右衛門が「数馬の脾腹を斬られたのは…」と言ったのにも納得した。2014/12/23