内容説明
千島アイヌは、北海道本島のアイヌと直接接触したり言葉をかわしたりすることのない、沈黙交易をおこなっていた。この奇妙な習俗がおこなわれた謎を解く手がかりとして、沈黙交易の事例を紹介しつつ、千島アイヌのケガレ祓いの呪術に着目する。北東アジアや日本との関係における、アイヌの習俗そしてイデオロギーとは。
目次
1 アイヌの沈黙交易(沈黙交易とはなにか;千島アイヌの沈黙交易;サハリンアイヌの沈黙交易;阿倍比羅夫の沈黙交易)
2 ケガレと呪術(千島アイヌのケガレ祓い;行進呪術とはなにか;陰陽道の影響;アイヌの疱瘡神)
3 沈黙交易が問いかけるもの(千島アイヌの沈黙交易と疱瘡神;アイヌのリチュアル・ヒストリー)
縄文伝統の思想を考える―エピローグ
著者等紹介
瀬川拓郎[セガワタクロウ]
1958年1月1日札幌市に生まれる。1980年岡山大学法文学部史学科卒業。専攻、考古学。学位、博士(文学・総合研究大学院大学)。現職、旭川市博物科学館主幹(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ポカホンタス
3
アイヌの沈黙交易についての丁寧でわかりやすい研究報告。アイヌについての先入観が覆されていく楽しさがあった。それにしても、沈黙交易はミステリアスで興味をそそられる。2021/10/06
koz kata
3
天然痘対策としてやってたそうです。確かに小さい島で蔓延したら一貫の終わりだもんね。2015/05/20
もけうに
1
専門的な内容ながら、「沈黙交易」に特化しているので理解しやすい。一見奇習に思える風習も、丁寧に読み解いていけば納得できる。島嶼で感染症が蔓延すると、逃げ場が無いからリアルに全滅の危機だもんなあ。2019/05/26
笛吹岬
1
アイヌに関してつづられた近世の文献情報を考古学の成果を踏まえて解釈するという、意欲的な試み。2013/07/26
偽教授
0
パラ読み2019/10/18