内容説明
仮名で物語をつづることがはじめられて間もないころ、空前絶後の傑作『源氏物語』は誕生した。これほど壮大にして精妙なフィクションが、なぜ創出されえたのか。光源氏の母の死に始まり、物語を通底する死と哀悼を縦軸に、筆者紫式部が目にしていた「絵」に焦点をあて、源氏物語が跳んだ軌跡を辿る。
目次
1 桐壺更衣哀悼―長恨歌図屏風から(主人公の母の設定;桐壺更衣と「楊貴妃の例」 ほか)
2 夕顔・葵―物の怪による死と哀悼(光源氏、廃院で死に立ち会う;夕顔を弔い、ひと月の病臥 ほか)
3 密かな哀悼、悼まれない死(藤壺入滅―今年ばかりは墨染に咲け;「若菜」以降、敗者復活の物語 ほか)
4 紫上哀悼、幻の世界へ(露のように消え、煙となった紫上;新年から一年、月次屏風の展開で ほか)
著者等紹介
天野紀代子[アマノキヨコ]
1940年5月東京都生まれ。1968年3月法政大学大学院人文科学研究科修士課程修了。専攻、平安朝文学。現職、法政大学(大学院)非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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