内容説明
『源氏物語』で人気のヒロインの一人、夕顔。彼女の人物像が、一つの和歌をどう読むかで一変する。通説の矛盾に鋭くせまり突きくずす中から、古典の面白さ、そして光源氏と夕顔二人の本当の恋のすがたが見えてくる。
目次
第1章 詠歌と人物像
第2章 正しい解釈
第3章 「光る君」と女君
第4章 「山の端」と「月」
第5章 最後の贈答歌
第6章 「光る君」と「夕顔」
附録「絵入源氏物語」の挿絵鑑賞
著者等紹介
清水婦久子[シミズフクコ]
1954年7月6日岡山市に生まれる。1977年3月大阪女子大学学芸学部国文学科卒業。1980年3月大阪女子大学大学院文学研究科国語学国文学専攻修士課程修了。専攻・学位:平安文学、博士(文学)。帝塚山大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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遊未
9
源氏物語はあらすじや入門書以外を読んだだけで、自分のイメージを作っていました。つまり、光源氏がプレイボーイでは理想の男性でなくなってしまうし、夕顔が娼婦でもしかり。そのことを贈答されている和歌から読み解いています。しかし、和歌のやり取りがここまで奥が深ければ、多くの歌を理解、暗記していて、日々話題になっていく和歌の知識もどんどん必要となります。「いい男」も「いい女」も外見のみの問題ではなく大変そうです。2015/12/30
ヒロミ
9
夕顔巻を和歌のやりとりから徹底的に見つめ直した画期的な一冊。夕顔ってふわふわしていてつかみ所がなく魅力が分かりにくかったのだけれど、実はすごく性格に一貫性がある女君だったということが明らかに。有名な「たそがれどきのそらめ」の句も意外な解釈がなされています。しかし本居宣長の源氏物語解釈は結構我々の目を曇らせる曲者でもあったのだなあ。2015/02/11
maekoo
6
古典の和歌に造詣の深い清水婦久子先生の和歌から読み解く夕顔造型論と「夕顔」巻の構成論です。 古くからある夕顔遊女説や頭中将勘違い説等々様々な説を取り上げ光と夕顔との贈答歌を中心にいつもの鋭い分析が光ります! 既読の円地文子の「源氏物語私見」や又江啓恵の「歌で読む源氏物語」も取り上げられ本居宣長もバッサリで気持ちいいです! 古今集からの引歌とその本歌の返歌を引用した夕顔の歌の質の高さを知る事が出来ます! 「花を折る」と「ひもとく」の枝と縁の仕掛け等和歌の面白さも知れます! 付録に絵入源氏物語夕顔原文と絵付!2022/03/27
ず〜みん
6
「心あてにそれかとぞ見る白露の光そへたる夕顔の花」「光ありと見し夕顔のうは露は黄昏どきのそらめなりけり」とてもロマンチックな源氏物語の夕顔巻はこの歌二首を取っても学説を惑わせる。「心あてに」思ったのは誰なのか、なぜヨルガオでなく夕顔なのか、「そらめ」はどんな「間違い」だったのか。文法で読み解くとその前後の描写と矛盾が生じ、描写から和歌を訳すと、矛盾を回避する為に例えば円地私見の「娼婦説」の様なとんでも論が成り立つ。学説や学派への反証が丁寧にされている論文でとても深く、納得した。2018/09/18
xin
4
古典文学の理論に即して夕顔の和歌を読むことで、メジャーな注釈書に書いてある解釈とは全く別の意味が見えてくるという恐ろしい一冊。源氏物語を読むということの難しさを思い知らされた。2015/12/21
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