内容説明
音声(あるいは文字)の量的制約が表現世界の広がりとは無縁であることを、みごとに実証してみせたのが歌である。際限なく拡大する物象世界や人間の営為に追随することなく、表現の矛先を“こころ”に向けることによって歌は生き延びてきた。こころという形のないものに対しては、拡散より凝縮された表現形態がふさわしい。恋歌はまさにこころを歌うものであり、和歌の特質がもっとも尖鋭に発揮される分野である。そのようなことを考えながら、ここ数年書き継いできたのが本書である。
目次
序章 詠み継がれる恋歌
第1章 成立論―恋の禁忌性と和歌(恋と婚姻;恋と神婚幻想 ほか)
第2章 花実論―晴と褻の諸相(天平の雅び;平安の雅び ほか)
第3章 表現論(序歌論;和歌の“喩”―古代文学における喩の原理 ほか)
著者等紹介
菊池威雄[キクチヨシオ]
昭和12年11月19日長崎県に生まれる。昭和35年3月山口大学教育学部第一中等教育学科卒業。昭和37年3月早稲田大学大学院文学研究科修士課程修了。専攻は日本文学(修士)。現、神奈川県立衛生短期大学教授
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