感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
大粒まろん
22
青空文庫。第五十二帖 蜻蛉 薫27歳、匂宮28歳 和歌は11首。浮舟の姿がない!一度は大騒ぎになるが、浮舟が悩んでいた事を知る女房たちは身を投げたのだろうと結論づけて亡骸もないまま葬儀をしてしまう。匂宮は虚脱状態になり臥せる。薫は女三の宮の病平癒祈祷の為、山に籠っており、葬儀にすら参列できず、大君に続いて浮舟まで亡くし、自分の浅はかさと宇治という土地を恨めしく思う。〔薫〕「ありと見て手にはとられず見ればまた行くへもしらず消えしかげろふ」2023/12/28
AI99
2
「匂宮」以降は、源氏の子や孫の世代の話となる。主人公の薫は、イケメンで、地位もあり、年長者に取り入るのが上手で、しかし女性にはモテない。父・柏木の情動と、母・女三宮の虚無とを受け継いだ、哀しきキメラ。超俗を標榜しながら、執着する。つまり、ウザい。この巻では、そんなモテない男の鬱屈が、露わになる。「モテるアイツが、羨ましい…!聡明な女性であれば、私の方を選ぶはずだ…!」。いや、そんなんだからモテないんじゃないの。薫と匂宮(モテるアイツ)、千年前の京都人による、「本音を言わない」トーク&和歌バトルも、見もの。2023/12/30