出版社内容情報
《内容》 序文
平成16(2004)年4月1日から法律に従って臨床研修が必修化される
こととなり,その研修病院を決めるための第1回マッチングが平成15
(2003)年11月13日に行われた.
従来,医学生の多くは卒業時にはまだ将来の専攻をきちんと決めて
おらず,取りあえず自分が卒業した大学の付属病院の卒後臨床研修医
となり,研修中に医局からの誘いなどを契機に専門を決めて入局して
いた.そして生活費はバイトで賄いながら,学位を取るための研究に
勤しみつつ,臨床技能もなんとなく身に付けてゆくといったことが多
かった.
しかし,スーパーローテーション方式の卒後臨床研修が必修化とな
ると,せっかく臨床研修を2年間するならプライマリ・ケアの症例の
多いところで研修したいと考える学生や,自分の将来をはっきりと決
めてから研修を開始する学生が増えてきた.その結果,多くの学生が
大学病院以外の臨床研修病院を目指すようになり,大学病院離れとと
もに,研修指定病院の序列化が起こっている.臨床研修に実績のある
有名な病院で研修できる学生は「勝ち組」,希望した病院にマッチで
きずに大学で研修することになった学生は「負け組」といわれたりし
ている.
しかしこうした風潮は,臨床実習の経験から学生は自分の大学病院
の実情を知っており,しかも先輩研修医が必要以上に悲惨な生活を強
調する一方,短期間の実習に出向いた臨床研修病院では大いに歓待さ
れ,そこには優秀な指導医ばかりがいるかのように見える「隣の芝生
は青い」現象のために起こったともいえる.必要なことは,自分の医
師としての将来をしっかりと考えて,そのための2年間の臨床研修を
どこで行うか,噂に惑わされず正確な情報をもとに研修したい病院を
決定し,その病院にマッチするための戦略をしっかりたてることであ
る.
本書では,本当に自分が研修したい病院にマッチする真の勝ち組に
なるためにはどうすればよいかを示す.学生諸君が優秀な臨床医とな
るべく第一歩を踏み出す助けになればと念じている.
2004年1月
《目次》
1.臨床研修必修化について
2.マッチングの仕組み
3.2003年度のマッチングの結果
4.情報収集の仕方
5.病院を見学する
6.応募を考える
7.履歴書を書く
8.推薦文を依頼する
9.筆記試験に備える
10.面接に備える
11.参加登録をする
12.アンマッチになったら
13.第1回マッチングを顧みて(覆面座談会)