出版社内容情報
《内容》 プロテアーゼ(蛋白分解酵素)の臨床的効果を語るには,プロテ
アーゼ本来の役割とそれとまったく関係のない作用との二つに分け
て考える必要がある.プロテアーゼは,それ自体が生体において重
要な役割を演じているが,その反面,補体系,カリクレイン・
キニン系や凝固・線溶系に影響を与え,種々の疾患の原因や増悪因
子としても働いている.特に脳梗塞や心筋梗塞をはじめとする血栓
性疾患や虚血-再灌流障害,ショックや播種性血管内凝固症候群
(DIC),多臓器不全(MOF),急性呼吸窮迫症候群(ARDS),急性
膵炎などの多彩な疾病の原因として重要な役割を演じている.
一方,プロテアーゼのインヒビターは逆にこのような重篤な病態
を阻止し,病気の進展を阻止するため,生体にとっては必要不可欠
なものであり,nafamostat mesilate(フサン;FUT)をはじめとす
るプロテアーゼインヒビターの体外からの投与は,有効な治療法の
一つとして臨床的に脚光を浴びている.
このような生体にとって重要な因子であるプロテアーゼインヒビ
ターの基礎的な成書は近年にはなく,臨床的観点からの書物は類を
見ない.本書はこの分野における第一人者に執筆していただき,雑
誌「医薬の門」42巻4号から43巻5号に連載されたものを成書とし
てまとめたものである.なお,雑誌連載の折には編集委員として谷
徹先生,末松誠先生および吉田憲正先生に多大なご協力をいただい
た.
基礎的な生化学や生理学の研究者のみならず,臨床に携わる医師
には座右に備え辞書代わりに利用されても有意義な書物となるもの
と思われる.
本書を広く活用していただければ幸いである.
2004年4月
京都府立医科大学大学院医学研究科生体機能制御学 教授
吉川敏一
《目次》
序文………………………………………………………………吉川敏一
執筆者一覧
第1章 オーバービュー
DICの歴史とその今日的理解………………………………末松 誠
FUTのDICを中心とした薬理作用の変遷………………吉川敏一・他
第2章 凝固・線溶系
凝固系活性化と赤血球………………………………………貝原 真
凝固・線溶マーカーからみたDIC病態の理解………御舘靖雄・他
PARからみた凝固・線溶系……………………………西堀正洋・他
TFと血小板………………………………………………石田 明・他
FUTによる凝固・線溶系制御………………………………高橋芳右
第3章 補体系
FUTと補体系……………………………………………………市川 寛
補体活性化の反応とその調節機構……………………………藤田禎三
補体からみたショックとDICの病態……………………高野裕久・他
急性膵炎と補体系………………………………………下瀬川 徹・他
補体と微小循環障害………………………………………井上拓也・他
第4章 細網内皮系
RESの構造と機能………………………………………………内藤 眞
肝臓・RESにおける鉄代謝回転とDIC・ショック病態………末松 誠
肝類洞壁細胞の病態とDIC……………………………………塚田信廣
マクロファージを介した炎症制御……………………………合田亘人
DCによる炎症と免疫応答のリンク…………………………松野健二郎
第5章 シグナル伝達系
FUTとシグナル伝達(PARを中心として)………………蒲原英伸・他
NF-κBの制御………………………………………………都築英之・他
転写制御とプロテアーゼ…………………………………内場光浩・他
血管内皮細胞とプロテアーゼ…………………………………丸山征郎
好中球機能とプロテアーゼインヒビター………………河内寛治・他
第6章 サイトカイン
FUTとサイトカイン………………………………………高野裕久・他
膵炎とサイトカイン………………………………………小林真哉・他
補体,PRR,サイトカイン……………………………………稲田捷也
微小循環障害とサイトカイン……………………………鈴木秀和・他
内皮細胞とサイトカイン………………………………冨田奈留也・他
第7章 細胞接着
炎症と接着分子……………………………………………霜澤 真・他
白血球―内皮細胞間接着の分子機構…………………………田中良哉
SIRSと可溶性細胞接着分子―臨床例における検討―…伊佐之孝・他
虚血再灌流障害と細胞接着………………………………市川 寛・他
酸化LDLと動脈硬化……………………………………………久米典昭
第8章 酸素ストレス
外科侵襲と酸素ストレス…………………………………丸林誠二・他
微小循環におけるNOのレドックス制御と病態…………加柴美里・他
NADPHオキシダーゼと生体侵襲…………………………河原 司・他
DICとNO……………………………………………………内藤裕二・他
活性酸素とDIC:プロテアーゼインヒビターによる制御…南谷佳弘
本書で用いられている主な略語
索引
内容説明
生体にとって重要な因子であるプロテアーゼインヒビターの基礎的な成書は近年にはなく、臨床的観点からの書物は類を見ない。本書はこの分野における第一人者に執筆していただき、雑誌「医薬の門」42巻4号から43巻5号に連載されたものを成書としてまとめたものである。
目次
第1章 オーバービュー
第2章 凝固・線溶系
第3章 補体系
第4章 細網内皮系
第5章 シグナル伝達系
第6章 サイトカイン
第7章 細胞接着
第8章 酸素ストレス
著者等紹介
吉川敏一[ヨシカワトシカズ]
京都府立医科大学大学院医学研究科生体機能制御学教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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