内容説明
エスニックやエスニシティという言葉を使ううえでさけて通れない基本論文を集め一冊にまとめた。他文化を知り、他国を知るために、また同時に自国、自文化を知るために、たいせつなこの概念がどのように論議されてきたのか、本書から読みとっていただきたい。
目次
序章 「エスニック」とは
第1章 エスニック集団の境界
第2章 さまざまなエスニシティ定義
第3章 都市におけるエスニック集団
第4章 部族からエスニシティへ
第5章 キリスト教徒でもユダヤ教徒でもなく
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ドウ
7
エリクセン『エスニシティとナショナリズム』を読み、エスニシティにつき無知を痛感したので読んでみた。編者が各論文を紹介する序章に続いて、エスニシティ研究に必読とされる論文5編の和訳が収められている。社会学・文化人類学をほとんど学んでこなかった故に序章で早くも躓き、繰り返し登場するバルトの議論がちんぷんかんぷんでまた第1章に戻り、といった具合でなかなか難解で読み進め難い。序章・第1章・第3章(都市に住む者としての関心)辺りをもう一度精読したい。2020/04/16
うえ
7
論文集。イサジフの論考はエスニシティの定義について論じる。例えばモンタギューは言語や社会制度以外に宗教を含めているが人種を除外しているという。ハンドリンは定義に文化のみを含め、M・ゴードンは人種、宗教以外に出身国を含める。「宗教を定義に含めるという問題」は本論考でも議論される部分だが、日本人にはいまいち感覚がわからないのではないか。イサジフの検討した中では10の定義が宗教を含んでいるが、宗教によって「民族的なもの或は民族集団」が別れるのなら長崎の基督教圏の島と北陸浄土真宗圏は違う民族という話になるのか否か2019/12/17
★★★★★
3
F・バルトの有名な一篇を含む、エスニシティ論の基本的な論文5篇を収めた本。思いのほか難解だったけれど、自身の関心ともあいまっていろいろ気づくところの多い一冊でした。これは近いうちに読み直します。2010/04/15