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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
松本直哉
23
10人中9人以上が死んだニューギニア戦線の地獄の描写が凄まじい。腹を膨らませ虫や獣に食われながら朽ち果ててゆく戦友の死体を目の当たりにした著者にとって天皇はその原因を作った者として当然死に値するはずだった。彼の天皇観を批判できる人は誰もいないだろう。死ぬどころかのうのうと君臨し続ける天皇を、その気になれば銃で撃つこともできたのに、あえてパチンコを使ったところがこの人の優しさかもしれない。天皇だけでなく、正義に反すると感じたときは上官でも誰でも遠慮なく殴りかかって異議申し立てをするその生き方がすてきだ。2018/02/17
モリータ
9
◆1972年刊、三一書房版。 昨年の今頃心斎橋の中尾書店で拾う。別冊宝島『囚人狂時代』(1997年刊)のインタビューで奥崎謙三のことは中学生の頃に知り、「ゆきゆきて、神軍」にも興味があったものの今日まで読まずにいたが、坪内祐三『一九七二』で触れられていたこともあり読んだ(映画も近くの図書館で観た)。◆陳述書として外からどの程度の整理があったのか不明だが、まず個人、特に下級兵士の戦記としてすぐれたものであるとともに、戦中の上官への暴力での抵抗が戦後の周旋屋刺殺、天皇パチンコ狙撃、「ゆきゆきて-」の揉み合い、2019/08/27
Hiroki Nishizumi
4
赤裸々な内容が延々と続き、文章の拙さも含め読み辛かった。ただし意図するところはよく分かり、頷けるところも多かった。人間の自由を求めると何かと不都合が多い。惰性に流される者に支配される社会が変わるのはいつの日になるだろうか。2023/03/23
べらし
4
何てこった、この人は正気だ2018/09/05
godon
4
殺人事件の自己弁護的物言いは真面目に読むに値しない。刮目すべきはニューギニアでの死の行軍の詳細な描写。この部分だけでも傑作と言える。この悲惨な戦場描写の強さによって、ともすれば戦中と連続性を持った奥崎の思想の方が、過去を顧みずに大転換した終戦後の社会よりも正常に見えてしまいかねない程である。ただ、奥崎に対する審判も、今の社会からすると考えられないほど甘く、復員兵に対する温情が社会の方にも少なからずあったことが推察できる。いま今上天皇にパチンコ撃ったら懲役1年6月では済まないだろう。2013/12/07