感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
243
日本の上代神話や中世伝承における蛇神を徹底的に追求した研究書。1980年刊といささか古いが、この分野ではいまだに最も網羅的かと思う。通読したのは実に久しぶり。『古事記』の三輪山伝承、『記紀』に見られる倭迹迹日百襲姫命(ヤマトトトビモモセヒメノミコトと読む)ーこれらはいわゆる箸墓伝承であるが、これらの神話に見られる男神の正体は蛇であった。以下にイザナミ、肥長比賣伝承、そして道成寺伝承を語って行く。個々の論にはそれぞれあるいは解釈上の異論はあるかもしれないが、著者畢生の研究書かと思う。2025/01/08
NAO
51
ヴェネツィアさんが紹介してくださった本。イザナミ神から始まる蛇神信仰の歴史的変遷が詳細に記されている。三輪山伝承、肥長比賈伝承、道成寺説話、上田秋成の「蛇性の婬」と、脈々と受け継がれる蛇神伝承はなかなか興味深かった。2017/08/05
らむだ
4
イザナミ命に蛇神との結びつきを読み、そこから三輪山伝承・倭迹迹日百襲媛命・肥長比賣・道成寺伝承・蛇性の淫・大物主神・賀茂伝承と日本の歴史に深く刻まれた蛇神伝承を照らした力作。2023/11/07