内容説明
1914年からの4年間をメラネシアの島ですごした著者が母系氏族制の中での男女の恋愛・結婚および種族生活の諸関係を分析し、文化人類学に文化現象を共同体と切り離さず有機的に把えようとする機能主義の新しい方向を拓いた名著である。
目次
種族生活における両性の関係
女性の地位
結婚前の性交渉
結婚への道
結婚
離婚と死別による結婚の解消
生殖と妊娠に関する考えと慣習
妊娠と出生
慣習的な放縦の諸形態
求愛および性愛生活の心理〔ほか〕
感想・レビュー
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roughfractus02
10
トロブリアンド諸島では子供と父親に生理的繋がりはないとされ、母方の兄妹が子供を扶養する一方(母系)、兄妹は家庭内では親しい関係として育てられない。兄妹相姦のタブーは父親の生理的無関係性を惹起し、家族自体の関係の崩壊を意味する。ここから本書は、性の社会的的機能という観点で、外婚制と一族の連帯という要素から、父方の叔母の子供と母方の叔父の子供の交差いとこ結婚が出てくる過程を取り出す。なお外婚は女性の鼻のあたりに油を塗る魔術によって促され、魔術の正当性の是非については死後死体を裂いて確認するという死生観を作る。2024/02/26